君の半年を僕に【BL】 (ページ11)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:1,698 hit

第11話ページ11

「さかたんおはよう。今日は昨日より暑くなるみたいだよ」

「そっかぁ」

ほとんど寝たきりになってしまったさかたん。動かせるのは手だけ。
喋るのもさらにゆっくりになった。表情を作るのもゆっくり。
つかれやすくなった。

ベッドの横に座り込み、君に話しかけるのが僕にできること。

話すときはいつもさかたんの手を握っている。
前より指輪ゴソゴソになってる

「夏も終わりだね。海、見に行く？」

「ん」

「今日はお散歩に行こうか？」

「ん……」

いくつか提案となる話をしてみたが、どんどんさかたんの瞼は閉じていった

「そっか、眠いね」

「んぅ……」

「おやすみなさい」

さかたんのあたまをさらさらと2、3回撫で、額にキスを落とす。そうするといつも、とても幸せそうな顔をして眠りにつく。

「僕はもっと、おしゃべりしたいなぁ……なんて」

浅い寝息を立ててる君に発した言葉はただ空気となった

この頃ほとんど音楽の仕事には手をつけていない。ずっと君といたい。
これがどれだけわがままなことなのか

ご飯食べなきゃ

ベッド脇から立ち上がり、さかたんの元を離れる。
少しでもさかたんを見ていたくて、リビングに置いてもらった借り物のベッド。病院に置いているようなタイプの。

「ちょっとだけ離れるね」

君が聞いていないのをわかっていても、いつもいつも寝ているときち話しかけてしまう癖、直さなきゃ