5話目 ページ5
は、と目が覚める。
私は何故か肩で息をしていて、目からは涙が溢れていた。
なんだ、なんだ、なんだ、これ。
夢なんてみたっけ、私。
思い返しても、夢を見た記憶なんてない。
でも、だったらなんで。
頭がガンガンして、水分が足りてないんだと分かった。
ふらふらした足取りでキッチンまで向かい、水道水を飲む。
お腹も減っていて目眩がする。気分が悪い。
冷蔵庫を開けてみるも、そこは当然のように空っぽだった。
..外に出たくないけど、仕方ない。コンビニ行くか。
ふとスマホを見れば、夕方の4時。
どんだけ寝てたんだ、と自分で自分が怖くなるのと同時に、そりゃお腹も減るか、と合点がいった。
それから少し歩き、
店員さんの｢いらっしゃいませー｣
の声と同時にコンビニに入っておにぎりやお茶、カップラーメンなどを買う。
特に滞りなくレジを終わらせ、自分のものとなった商品を受け取った時。
なんとなく、店員さんと目が合った。
そう、目が合っただけ。
なのに何故か、手が震え始める。涙が溢れてくる。頭が真っ白になって、声も震えてきた。
不思議そうに私を見る、私と同年代程の男性店員から
慌てて視線を逸らし、ビニール袋を持つ。
『す、すみません』
そのままコンビニを出て、家まで突っ走る。
なんだか怖くて怖くて仕方がない。
家の鍵を未だ震える手で開け、雪崩込むように家に入る。
鍵が掛かっているか何度も確認して、私はその場に座り込んだ。
息が、苦しい。
危ない状態っていうのが自分でも分かるくらい呼吸がおかしい。手足が痺れてきて、思わず自分の体を抱き締める。
誰か、助けて。
白兎、そうだ、はくと、
涙が止まらなくて、曇った視界のままスマホを開いて
白兎に電話をかける。
運良くワンコール目で出てくれた彼は、ろくに応答がない私に異常事態だと気がついたらしい。
｢今から家行くから｣
の言葉を私に投げかけて、電話を切った。
はくとがきてくれるなら、あんしんだ。
段々暗くなってくる視界の中、私はそんな事を思った。
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作者名：みそ漬けキュウリで殴る | 作成日時：2020年7月30日 21時
