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◇33 ページ33
「・・・、・・・大野くん？」
顔を上げた大野くんが。
悲しい顔で私を見る。
踏み込んだ部屋は、コンクリートで冷たかったけど。
止められなかった。
「来ないで、」
「・・・っ、なんで？」
「優しくなれないから」
「優しくなくたっていいもん、」
「だから来んなって！！」
大野くん。
大野くんは、どうしてそんなに悲しそうなの？
「・・・嫌だ」
「関係ない奴が首突っ込んで来んなよ」
「嫌だ、」
「引っ込んでろっつってんだろ！！」
「やだ！！」
「うぜえんだよ全部！！全部全部全部！！！」
なんで泣いてるのに。
涙は流れないの？
「っ、やめろ」
「嫌だ」
「離せっ、」
「嫌だ」
誰も、大野くんを抱きしめてはくれないの？
首筋に当たる息が、熱を帯びて熱い。
抱き寄せた大野くんの髪は、とっても柔らかかった。
「大野くん」
「・・・」
「大好き、」
大野くんが、腕の中で俯く。
「大好きだよ、」
ゆっくりと私を押して引き離した大野くんと。
視線が合う。
そして、
一瞬だった。
私の首を引き寄せた大野くんが。
キスをした。
涙でぐちゃぐちゃな私に。
ちょっぴり、乱暴な手と。キス。
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作者名：ネズム | 作成日時：2019年12月27日 22時
