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◇16 ページ16
次の日。
朝練を休んだ雅紀に連れられて、学校に行く。
行きたくないって駄々をこねた私に。
久々に、雅紀が髪の毛を結ってくれた。
「見てー！雅紀に結ってもらったの、小学生ぶりなんだー」
「じゃあお前は小学生以下か」
「はあ？」
風邪で休んだ次の日だっていうのに。
ニノは、いつもと同じだ。
「だいぶ伸びたねー」
「うんっ。今度、絲ちゃん家行くから切ってよー」
「いいよ。お父さんに言っておくよ」
「わーい」
絲ちゃんも、大好きな絲ちゃんに戻ってて。
「つーかさ。夏休み、部屋が空いてる日あったらうちに泊まっていいって」
「えっ、ほんと？行きたいねー」
「私も行きたーい！いつにする？」
「あたし、いつでもいいよ。今年どこも行かないし」
「俺も」
「じゃあ松潤、空いてる日聞いてきてよ」
「そっちに合わせんのかよ」
「だって絶対行きたいもーん」
こないだ、みんなのことを。
1日だけ大嫌いになったのは。
私だけの秘密。
大野くんが、久保多さんと笑顔で話しているのを見て。
やっぱり。
心臓をギュって掴まれた気がしたのも。
秘密。
お父さんが、タバコを咥えて。
なんやらガリガリ書いているのが遠目に見える。
大好きな工房からの景色を眺めていたら、誰かがドアを開けた音がしたけど。
大野くんかもしれないと思って、気付かないふりをした。
きりきりと、首筋が痛み出す。
「A？」
雅紀の声に。
ほっとして、振り返る。と。
雅紀の少し背後に、大野くんが立っていて。
「なんか、大野くんとすぐそこで会っちゃってさ」
「・・・、」
「おじさんの部屋貸してるんでしょ？」
首筋が。
きりきり、きりきり。
雅紀の声が。
ずいぶん遠くに聞こえる。
首筋が、焼けるみたいに、熱くなっている気がして。
雅紀が、私の名前を呼んでいる頃には。
二人の間を割って、私は走り出して逃げていた。
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作者名：ネズム | 作成日時：2019年12月27日 22時
