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◇15 ページ15
1時間ぐらいして。
大野くんが入ってくるのが縁側から見えて。
つっかけを履いて、駆け寄る。
足音に気付いて振り返った大野くんが。
露骨に、息を吐き出した。
「びっくりした」
「画材、置きに来たの？」
「うん」
「なに買ったの？」
紙袋を覗き込もうとしたら。
大野くんが一歩身を引く。
「・・・なんでよ、」
「いいじゃん何でも。関係ないじゃん」
「えーいいじゃん、気になるもん」
「なんかさ、・・・」
「・・・どうしたの？」
「よくそんな、誰にでもベタベタできるよね」
大野くんの目が。
伏せられて。
視線が合わなくなった。
「誰かにさ、拒否されたこととかないでしょ」
「・・・、そんなことないよ！だって、今日もニノに逃げられたし、」
「・・・」
「潤ちゃんだって、寄りかかったら、肩ドーンって」
「・・・」
「絲ちゃんになんて嘘ついてるって思われてさ、」
ふっと笑った大野くんが。
大野くんと、再びあった視線が。
「Aー？」
雅紀の声がする。
起き上がって待ってたら、雅紀が部屋のドアを開けて入ってきた。
「風邪、治った？」
「うん」
「どれどれ」
手を伸ばしておでこに触れた雅紀が。
ん？って微笑む。
「熱はなさそうだね」
「・・・」
「どうしたの？」
大野くんの言葉が。
心の奥に引っかかって。
「・・・、なんでもない」
「そっか。ってか髪ぼさぼさじゃーん」
頭を撫でる雅紀の手が。
今日も冷たい。
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作者名：ネズム | 作成日時：2019年12月27日 22時
