1-18 ページ21
.
紫恩の家に通い続け、週末がやってきた。花澄は休日図書館に行ってテスト勉強をする予定だ。
ここで成績を上げて、学校での印象を変えなくては。その思いを胸にまだ慣れない手つきで軽い化粧を終える。
鞄を持って部屋を出ようとしたときだった。紫恩の母親、紫緒里からメッセージが来た。
昨日藤枝家を訪れたときのことだった。トークアプリのアカウントを教えて欲しいと言われたのだ。
紫恩ではなく彼の母親に。
そして紫恩との交換もその場で半強制的に交換することとなった。紫緒里の圧力で。
ちなみに、紫恩の連絡先は家族と花澄だけらしい。予想はついたが。
そのついでに花澄は紫恩の母親を紫緒里さんと呼ぶことになった。
当のメッセージの内容はというと、紫恩の家で勉強しないかという提案という名の召喚。しかもこれ、紫恩には許可取ってないやつだ。
曲がりなりにも紫恩は成績優秀な生徒。一緒に勉強したらなにか盗める知識があるかもしれない。
花澄は二つ返事で了承し、目的地だけ変えてそのまま家を出た。
藤枝家ではぶすっとした顔の紫恩と友達を迎えるように上機嫌な紫緒里が花澄を出迎えた。その背後では家政婦がお茶とお菓子を準備している。
花澄は途中で買ってきたお菓子を紫緒里に渡した。
(……私、紫緒里さんに友達認定されてそうな気がするんだけど)
花澄のその考えはあながち間違いではなかった。
家の外では体裁を気にして紫恩の不登校に関する愚痴が言えないし、姑や身内からは紫恩の性格や不登校について母親の育て方が悪いというような小言が多かった。
気の許せる相手がいない中で、紫恩のことを気にせず普通に振る舞い、愚痴をこぼしても同意するような視線を向けてくれたのが花澄だった。年下だから必要以上に気を遣う必要もなく、楽に話せた。
紫緒里にとって、花澄と話す時間は生活の息抜きとなっていた。
勉強は紫恩の部屋ではなく、客間で行われた。
紫恩はプライベートゾーンに入られることを嫌がり、紫緒里は思春期の男の部屋に女の子を入れないようにと配慮した。二人の意見が一致し、勉強会は客間で行われた。
洋風な造りの客間は明るい色のフローリングに淡いサックスブルーの絨毯が敷かれている。その上にはナチュラルブラウンのテーブルと紺のソファーが並べられていて、爽やかな部屋だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅月まのか - もしかしてツンデレですかね.......？(え)更新日昨日か.......あと1週間待ってます！頑張ってください！ (2019年7月21日 7時) (
レス) id: b975388040 (このIDを非表示/違反報告)
花杜あみり（星沢想良）(プロフ) - Couteau_1937さん» 直しました！ ありがとうございます！ (2019年6月29日 9時) (レス) id: bb468dc0cb (このIDを非表示/違反報告)
Couteau_1937 - 細かくてごめんなさい!!「復讐」が「復習」になってます! (2019年6月23日 21時) (レス) id: deb1b5318f (このIDを非表示/違反報告)
ひよ - オリジナルの中で一番好きです！楽しすぎて久また読み返ししてました笑笑更新頑張って下さい！ (2019年6月23日 0時) (レス) id: 85d98be7fd (このIDを非表示/違反報告)
りゆ - とても面白くて、楽しみだったので、更新、戻って来てくれると嬉しいです！(>_<) (2019年6月2日 15時) (レス) id: ebc25fbea8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花杜あみり（星沢 想良） | 作者ホームページ：
作成日時：2018年12月25日 16時
