第5話 ページ6
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「あ、A姉ちゃん」
虎杖の言葉に一人の男が過剰に反応を示した。
腰掛けていたベンチから勢い良く立ち上がり、目隠しで顔の半分が見えなくても、驚嘆している事がわかる雰囲気。
五条と長い付き合いである伏黒は、彼の見たこともない様子に目を見開いた。
そんな様子に気づいていないのか、虎杖はAと名前を呼んだ人物へと近づく。
だが、彼女も見知った人物に驚きを隠せないでいた。
虎杖の「姉ちゃん?」という言葉で我に帰ったAは、弱々しく「ゆうじ」と彼の名前を呼ぶ。
今迄見たこともない彼女の様子に違和感を抱いた虎杖は、どうしたのかと問うがAは「何でもない」と貼り付けた笑みを浮かべるだけだった。
「悠仁、場所を変えよう。話はそこで聞くから_」
「ちょっと待てよ」
この場から離れようと自身に背を向けたAに、五条は力強く彼女の腕を掴む。
別れた当時よりも細くなった腕に一瞬の戸惑いを見せながらも、五条はその腕を離そうとはしなかった。
「久しぶりだね、右京。まさかこんな所でキミに会えるとは思ってもいなかった」
「相変わらず目元隠したがりの自己中ですね。お変わりなさそうで安心しましたよ」
「そんな簡単にグッドルッキングガイである五条悟の顔を見せるわけにはいかないでしょ?」
五条のセリフにAと伏黒は心底ウザそうな顔を見せる。何でそんな顔するのと、五条は不思議に思った時、突然自分と彼女の手が離される。
その離した人物は、Aと五条の間に入り込み、先程まで腕を掴んでいた五条の事を真っ直ぐに見据えていた。
「先生この人さ、屑でどうしょうもないって自分で言っちゃう程、自覚アリのダメ人間なんですけど…
一応俺にとっては家族みたいなもんで、正直離れるのも躊躇うような人なんです」
「悠仁…」
「だから警察に連れて行くのだけは勘弁してください」
「巫山戯んな。さっきの感動返せ」
お願いします、と五条に対してお手本のような礼をする虎杖の事をAは蹴った。
何で警察行くみたいな流れなんだと問えば、虎杖は真面目そうに「ついに罪を犯したのかと」と答える。
そんな虎杖にもう一発蹴りを入れる彼女の姿に、五条は最後に見た時と違うことに気づく。
そして暫く考えた五条は1つの名案に辿り着き、密かにほくそ笑んだ。
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テヌ。(プロフ) - 若葉さん» 若葉さま。コメントありがとうございます。そのように言っていただけてとても嬉しいです!これからも頑張ります! (2020年5月22日 0時) (レス) id: b4b50e7b68 (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - この作品面白くて好きです!!頑張ってください! (2020年5月21日 8時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
テヌ。(プロフ) - 茉優さん» 茉優さま。コメントありがとうございます。また心配してくださりありがとうございます。そう言っていただけて本当に嬉しいです…!無理しない程度にこれからも頑張らせて頂きます(^^) (2020年4月20日 1時) (レス) id: b4b50e7b68 (このIDを非表示/違反報告)
茉優(プロフ) - ずっと応援してます!お体に気をつけてくださいねお大事に! (2020年4月19日 9時) (レス) id: b60e3eafa2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テヌ。 | 作成日時:2020年4月12日 2時