君がいなくちゃダメなんだ【stxxx】

紅色の絶望 ページ6

you side



兵士1｢ごぶっ…｣

切り裂かれた兵士の体は、
ゴロンと床に転がる。

『ぁ…っあ…』

溢れ出す赤黒い液体と、
光の灯らなくなった虚ろな瞳が

『死』の恐怖と絶望を
嫌という程に湧き上がらせて

『ぃや…いやぁぁあああ!!!!』

耐えきれず悲鳴を上げる。

タ｢ふ、愚かな奴だ。さぁ…次は貴様の番だ、
ミルクリア国の姫よ｣

タナトスが私に向けて、血に染まった
鎌を振り下ろし…

王｢く…させるかっ｣

しかしそれは、お父様が作り出した
結界に阻まれた。

タ｢ほぅ…｣

王｢大切な娘の命、貴様などに奪わせるか！｣

女王｢同感です、貴方。
私も、お供します｣

お母様は手の中に光を集め、
白銀の杖を作り出す。

タ｢…いいだろう。ならばこの国ごと、
血に染め上げてやる！集え、悪魔たちよ！｣

広間の中央にどす黒い炎が上がり…
コウモリの翼を生やした化け物が
何体も現れた。

悪魔は唸り声を上げ、
貴族やメイドに襲いかかる。

女王｢させないっ…全兵士と魔術師、
悪魔に総攻撃を！｣

お母様の声で兵士達も動き出し、
戦いが始まり…

2つの種族の血と叫び声が
あちこちで上がる。

怖くて、体が動かなかった。

タ｢ふ…まだ足りぬな｣

王｢くっ…｣

女王｢…う｣

お父様達が苦しそうに声を洩らす。
…2人とも、もう傷だらけだった。

『お父様、お母様っ』

王｢A…大丈夫と言いたいが
…時間の問題か。お前、あれを頼む｣

女王｢…分かったわ、貴方｣

お母様が杖を一振りすると、私の足元に
魔法陣が現れた。

女王｢クリメアも、魔法陣の中へ｣

メアは返事をして、私の隣に立つ。

『お母様…？』

女王｢貴方達を…ストロベリー国の
近くまでワープさせるわ｣

『なら、お母様達も一緒に…』

女王｢ごめんなさい…
私達は、一緒に行くことは出来ないわ。
ここで…タナトスを食い止める｣

『そんなっ…！』

お母様が優しく微笑む。

女王｢ストロベリー国には、強くて優しい
6人の王子がいるの。必ず貴方を守ってくれるわ｣

『嫌ですっ…私も残ります！』

そう叫んで、伸ばしかけた手は
お父様の声に遮られる。

王｢クリメア！…Aを、頼んだぞ｣

ク｢…はい｣

白い光が、私とメアを包み始める。

タ｢別れは済んだか…では、続きといこう｣

『お父様っ、お母様…っ』

涙を零しながら、叫ぶ

女王｢A…大好きよ｣

王｢大好きだぞ、A｣

2人の笑顔が最後に映って

視界は、白く染まった。

作者より→←悪しき神の復活

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