第二幕 ページ4
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首無「姫様。鴆様がいらっしゃいました」
襖越しから首無の声が聞こえると、
鴆が襖を開け、部屋に入ってくる。
鴆「姫!お久しゅう御座います。鴆で御座います。
体調の方はいかがでしょうか?」
返事は無いが、
煙管を吹かしているAの健康的な顔色を見て安心する。
鴆「ははっ、姫は相変わらず煙管が似合いますな。
失礼、喉を診させて貰いますね」
Aが口を開くと、鴆は喉を確認する。
鴆「…腫れも無し…か。
言葉は何でも良いので、
少しずつ声を出す練習でもすれば次第に出る様になるでしょう」
にこにこと笑顔だった鴆の表情が次第に曇っていく。
鴆「…姫。三代目になる気は無いのでしょうか?
姫もまた有力な三代目候補。
二代目の件で心中察しますが、今のままでは奴良組は衰える一方。
今日、リクオにも会って来たが
組を継ぐ意思は一寸足りとも無かった_____
もう、姫しか居ないんですよ」
ただ視線を合わせるだけのAに、鴆は眉を寄せる。
鴆「______姫。
あんた、実は話せるんじゃないんですかい?
体は至って健康だ。
精神的な問題で声が出ない事も人の世にはあるが…
姫は何処か違う気がする。
姫が床に伏せてから初めて見た時は、
衰弱し、何処か死を望んでいるかの様に見えた。
声が出せないと聞いて頷けたが_______
今のあんたの目は生きようとしている。
姫、本当の事を話してはくれねーか?
部屋の近くには、妖怪達は近寄らない様になっている。
今、部屋には俺と姫だけだ」
鴆の鋭い眼光がAを逃がすまいと映す。
Aは煙を吐くと、ゆっくりと口を開いた________
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作者名:天天 | 作成日時:2023年7月17日 21時