絶対防御少女は神獣 其の参

百十八話 ページ19

煉「お」

二人が目を開けた。うっすら涙を浮かべて、無理矢理体を動かした。

鬼灯「白澤さん、あれは…」

白澤「能力のおかげだろうね…緋狐に感謝しなきゃ」

煉「何の話してんのか知らんけどオレは邪魔そうなんで一旦出ますよっと」

Aは刀を支えにして、かろうじて意識が残っている状態だった。

白澤「護る筈が、護られちゃった」

鬼灯「情けないですね。…Aさんはとても優しい人だ」

白澤「でもさ、自分を犠牲にするところはダメかな」

そんなことを言いながら二人はゆっくり近づく。

A『チカヨラナイデ…』

Aの目は赤黒く光り、目の回りに赤い模様が浮き出ていた。

A『ウ…ゲホッ』

吐血した。もう本当に限界だ。もう意識を保っていられない。暴走する前に二人を少しでも遠ざけようと何とか口を動かす。

鬼灯「落ち着いて。大丈夫です」

白澤「無理しないで。僕たちの事は気にしなくていいからさ、ゆっくり、自分を治すんだ」

Aの小さな背中を優しく擦る。Aは二人の声で少し意識を取り戻し、自身を回復した。

A『…?』

目は元に戻り、模様も消えた。代わりに涙が溢れてくる。

鬼灯「思いっきり泣きなさい。誰も貴方を責める人なんていません」

白澤「もう我慢しなくていいんだよ」

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