天使と悪魔 (ページ30)

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「起きられましたか？」

目を覚ますと、今度は真っ黒の部屋に寝付かされていた。

その声の先を見ると、シュンスケと同じぐらいの年齢の男の子がいた。

頭には悪魔の角が生えていて、コウモリみたいな羽がついていた。

「私は"ケント"と申します。"キョウヘイ"様の召使いでございます。」

聞きなれたセリフだなぁなんて思いながら体を起こす。

ライバルなのに一緒のところは一緒なのね。

「あの……その、ケントさん？

わたしこれからどうしたらいいんですか？」

謙社「まずはお着替えとメイクをしていただきます！

プロのメイクさんにお越しいただいていますので」

すると部屋にたくさんの女の人が入ってきた。

謙杜「では私は失礼致します」

「え、なに、」

化粧をする人と髪をセットする人と服を着替えさせる人が一斉にわたしを変えていく。

わたしはただ突っ立ったままで任せきり状態。

「出来上がりました」

「はやっ、！」

1人のメイクさんが大きな全身鏡を持ってくると、わたしは映ったその姿に驚愕した。

「これ、わたし……？」

「とてもお似合いでございます」

髪の毛は三つ編みのハーフアップで、化粧はアイラインがキツめで真っ赤なリップ、ドレスは黒と紫の柄だった。

ほんとに悪魔みたいな格好だ……

謙杜「Aさん！とってもお似合いですね！」

「そうかな……」

こんな格好したことないから、似合ってるなんかわかんないな……

謙杜「それでは会場に行きましょう！」

そう言ってわたしの手を引く姿が、どこかシュンスケと重なった。

やっぱり天使も悪魔も似てるんだなぁ。

天使界とは違って、案内されたのは会場の入口ではなかった。

謙杜「ここで待っていてください」

ケントがその部屋を出てからしばらくすると、ｺﾝｺﾝとノックがなった。

「はーい」

ｶﾞﾁｬ

「え、」

恭平「え、」