天使と悪魔 (ページ28)

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ﾋﾟﾖﾋﾟﾖ

小鳥のさえずりで目覚めるなんて、ほんとにプリンセスみたい。

体を起こして部屋を見渡すと、隅っこにシュンスケが座っているのが見えた。

駿佑「A様、本日お帰りになりますよね？」

「うん、そうだけど……」

あぁ……次は悪魔界か……憂鬱……

駿佑「こちらの薬をりんごジュースで飲めばすぐに人間界に戻れますよ」

そう言って差し出してきた錠剤。

粉薬じゃなくてよかった

駿佑「人間界からこちらに来る時にも使えますので、いつでも遊びに来てくださいね」

これは普通に誘っている言葉ではない。

わたしに大橋先輩の妻、つまり天使界の姫になれと言っているんだ。

「いつでも行きますね」

それにしてもりんごジュースってかわいいな笑

駿佑「……アダムとイブのお話はご存知ですか？」

「なんとなくなら……」

神からエデンの園の中心の木にあるりんごを食べてはいけないと言われたのに、ヘビからの誘惑に負けて食べてしまう話……

駿佑「Aさん、悪魔の誘惑には気をつけてくださいね」

少し寂しそうな顔をしながらそう言った。

悪魔って……

いやいや。恭平が悪いことするとか、そんなの考えられない。

もしかしてこの考え方も洗脳？

「ごめんなさい。。

まだちょっとよくわからないかも……」

だってわたしが好きになった方を選ぶんだもの。

仮に悪魔の誘惑に負けたとしても、好きになった人は好きになった人だし……

駿佑「Aさんは素敵な方ですね」

ちょっぴり呆れたように笑ったシュンスケは、わたしにコップ一杯のりんごジュースを渡した。

わたしはそれを受け取り、薬を飲んだ。

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