天使と悪魔2 (ページ10)

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大橋side

誰もいない静かな廊下をはぁ……とため息をつきながら歩いていると、誰かが鼻をすする音が聞こえてきた。

誰か泣いてる……？

その音のする方に近寄っていけばそこには1人の女の子がいて……

大橋「……ノア、？」

乃亜「……っ、カズヤ、？」

まさかのノアだった。

ノアは俺たちよりも先に人間界に行った唯一の悪魔だった。

理由は親との喧嘩。

ノアの母親は重い病気にかかってしまい常に寝込んでいる状態になってしまった。

幼い頃のノアにとってそれはとても辛い現実で毎日泣いて泣いて悲しんでいたのを今でも鮮明に覚えている。

そしてノアの母親がよく要求をするようになり、自然とノアは母親の召使いへとなっていった。

しかしノアにとってそれはただの"わがまま"だとしか思えなくて、それが喧嘩の原因となり、弟を置いて1人で悪魔界を抜け出していったんだ。

だからノアがここに帰ってきたのは何年ぶりかのこと。

大橋「こんなとこでどしたん？」

乃亜「……ふられた」

大橋「え、？」

乃亜「彼氏にふられてん……」

え、ノアって彼氏いたんだ……

ってそんなこと考えてる場合じゃない。

小さくなっているノアの隣に座って背中をさすってあげた。

大橋「そっか……」

乃亜「その程度…？」

大橋「え、？」

乃亜「カズヤにとってはその程度？わたしに彼氏がいたこと聞いてなんとも思わへんかった？ふられたんだ、へーって感じなん？」

寂しそうな目でそんなことを言ってくる。

そんなことない！

大橋「そんなことないで！さっきびっくりしたけど場違いやなって思って言えへんかってん」

するとノアは膝の間に顔を埋めてため息をついた。

乃亜「……ごめん、彼氏いたっていうのは嘘」

大橋「え、？」

乃亜「だからふられたっていうのも嘘」

なんて言ったらいいのかわからず沈黙が続いてしまった。

どういうこと？なんために？

するとパッと顔を上げて再び涙を流しながらこちらを向いた。

乃亜「……わたしはずっとカズヤのことが好きやねんで」

大橋「っ、え……」