俺だけの天使 ３

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ある日、
いつものように、

みんなで回転焼き食べてたら、

のんちゃんが俺にだけ聞こえるように、


「俺、人見知りやし、陰キャやしさ。
高校で、友達出来る自信なかってん。
素の自分、出されへんし、
友達なんか出来へんと思ってた。
神ちゃんと出会えて、ほんまに良かった。
神ちゃんが俺を変えてくれてん」


そんなん言うてくれてさ。


胸がきゅーってなってんな。


好き、って、はっきり自覚したんは、そん時。


それまでは、

王子様って、
ほんまに、おってんなあって、
思いながらも、


男を好きなんて、
認められへんかった。


そっからも、
苦しいて、苦しいて。


忘れるために、
女の子と付き合うては、

本気になれずに別れるの、繰り返しやった。


回転焼き買いたいけど、
お金、持ってへん。

ポケットん中、探ったら、
５円しか入ってへんかった。


「カスタードの２つ下さい」


不意に、後ろから、そんな声が聞こえた。


びっくりして振り返ったら、
のんが立ってて。


さっさと、
お店のおばちゃんに、
３００円、渡してる。


「昔っから、
なんでそない走んの、速いねんて。
しんどっ・・・
ともも回転焼き食べたいんやろ？はい」


憮然とした顔で、文句言いつつ、
回転焼き１個、俺に差し出してくれた。


「ありがとお」


のんちゃんの、
いつも通りの雰囲気に流されて、
つい受け取ってもうた。


商店街で立ち食いなんて、
学生ん時ぶりや。


「うまっ。
はよ、ともも食べえや。
冷めてまうで」


俺には勧めるくせに、のんやって、まだ食べ出してへん。


「うん・・・
頂きます」


・・・めっちゃ美味い。

美味くて、泣けるって、あるねんなあ。

俺の人生で、これが、
最後の回転焼きかもしれへん。


頑張って、涙、止めて、


「・・・のんちゃん、お金、あとで返すわ」


無理にやけど、笑って言えた。


「なあ、なんでさっきから、
のんちゃん呼ぶねん。
嫌や、そん呼び方」


もう、恋人ではおられへんやろ？

友達にも、戻られへんから、

なんて呼んだらええんやろう。


「小瀧くん、」


一番、最初、出会った時の呼び方、してみたら。


のんちゃんは、ますます、ぶんむくれた。


「はあ？
もう、ほんまに・・・」

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