俺だけの天使 ３

２ ページ28

通常モードの、ともの雰囲気に、
胸のモヤモヤは、奥に仕舞い込んでもうた。



仕切り直しで、
革靴を脱いで、部屋ん中へ。


気が利く、ともは、
さっと、
俺の脱いだジャケットを、
ハンガーにかけてくれる。


そんで、その後、

ネクタイ緩めて腕時計を外す、
俺をじぃっと見てるねん。


この熱のこもった視線、

まだ慣れへんくって、
めっちゃ照れるねん。


流星がおるラグの上に、
向かい合って座ったら、

ともは、


「じゃあ、俺、
ご飯、あっためて持ってくるな！」


言うて、

すぐ目の前のキッチンへと、
たたっと走ってった。


走り方！

もうほんま可愛ええっ。


「望、おかえり。
お疲れさん。
ごめんな。
留守中にお邪魔して」


流星、そう言うて、笑ってるけどさ・・・

落胆した顔して、
目ぇも、真っ赤っかやねん。


流星が泣くなんて、初めて見る。


「いや、別にそれはええけど。
流星、なんかあったん？」


「うん、まあな。
ちょっと恋人と喧嘩してん」


「喧嘩？理由は？」


「まあ、ようあるねん。
気にせんといて。
大毅、極度の寂しがりで、
ちょっと仕事忙しいてほっとくと、
すぐ拗ねよるねんなあ。
そこも可愛いとこやねんけどな」


なんや、結局、のろけ？

さっきのセリフ、
なんかちょっと引っかかったような？

あれ？


「流星、さっき、なんつった？
付き合うてる人の名前」


「あ、いや、その」


流星、濁しながら、

キッチンでお皿に盛り付けしとる、ともの方に、


助けを求めるような、
お伺いをたてるような、

視線を送ったん、

見逃せへんかったし。


それって、やっば、心療内科の重岡先生？


医院のホームページに、

院長、重岡大毅て書いてあったん、


顔に似合うて、

活発な男の子らしい、
可愛いらしい名前やな思たから、

はっきり覚えてる。


「大毅て、聞こえたけど・・・。
なあ、ともは流星の恋人知ってるん？
重岡先生なん？」


声かけたら、
フライ返し手にした、ともが、

びっくりした顔して、
こっちを振り返った。


それと同時に、

ハンバーグが、
ぽとんとテーブルの上に落ちた。

慌てて、お皿に戻して。

３→←１

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す