1番 ページ19
0:00ちょうど
そうそう開かない携帯の
電話帳を開いて電話をかける
"もしもし、准くん？"
岡「それ、いっつも言うけど
俺の携帯だから俺しか出ないよ(笑)」
"そんなの分かんないじゃん
私からだってわかったら健くんとか出るかもよ？"
岡「そうかも…(笑)
で、どうしたの？なんかあった？」
准くんは何も気づいてないみたい
"准くん、誕生日おめでとう"
岡「え？……あ！！日付変わったんだ
今年も1番はAだったね」
"ほんと？やったぁ♡"
岡「どうせ会うんだからそのときで良かったのに」
"それはそれ、これはこれなの"
岡「よく分かんないけどさ(笑)
ありがと、わざわざ電話くれて
あんまり遅くまで起きてないで早く寝なよ？」
"はぁ〜い、じゃまたね"
岡「うん、じゃあね」
准くんは絶対に自分から電話を切らない
それは出会った頃から変わらない
他の人との電話はどうかしらないけど
私と電話で話すときはいつもそう
それはお酒を飲んでちょっと酔っ払ってるときでも
かわらず徹底してる
ほら、今も私が電話を切るまで准くんは切らない
ﾋﾟｯ
私も基本は自分から切りたくないけど
いつまでも埒が明かないから
准くんとの電話はいつも私が切る
きっとそれはこれからも変わらない
変わらないっていえば
夜、准くんと電話すると話の最後に
「早く寝なよ」というのも昔からだ
いつまで私を子ども扱いする気なのかしらないけど
私も今となっては32歳のいい大人
そろそろそこは卒業してもいいんじゃないかとも
思ったりするけど
たぶん准くんに「早く寝なよ」と言われない電話は
それはそれでなんか気持ち悪いんだろうとも思う
37歳かぁ………
准くんと初めて出会ってから22年
准くんは22年分年を取り、同じだけ私も年を取った
「ちっちゃいなぁ、小学生？」
"え、うん"
「女の子やのに男に混じって
レッスンしてすごいな！！」
忘れもしない准くんとの初めての会話
正直、驚いた
男の中に紅一点
いいことなんてほとんど無かったし
冷たい目で見られることが多かった
それから今までいつでも私の側には准くんがいた
1番たくさん話したのも、1番一緒に出掛けたのも
1番助けられてるのも、1番心配性なのも准くん
ほんとは自分も末っ子だから甘えたくても
私の前ではお兄ちゃんな准くん
今年のツアーでは
「珍しくAがお姉さんに見える」
なんて言われてたけど
たまにはそんなことがあってもいいかな
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作者名：かなやん。 | 作成日時：2017年11月8日 10時
