第四話 ページ16
「来週までに宿題を終わらせきゃじゃん!
もーやだ。」
机にバタン、と突っ伏す。あまり暑くないとはいえ、昼間にもなれば夏らしい温度になってくる。
暑さと宿題に気力を奪われつつある私は、トーストされたチーズのようなだらしなさでベターッと机に張り付く。
夏休みになれば、宿題があるのは前世も今も同じで、死んでまでも私は、宿題に悩まされている。
「でも、12歳の問題だし、日本ほど高度なものじゃないし簡単じゃないの?」
頭上からリアムの声が、聞こえる。
えぇ、私もそう思ってました。正直、前世の記憶を取り戻した元先進国の国民には簡単だろう、と。
しかし、現実は無情で。やることが全然違うのだ。
例えば、歴史は日本史ではなく、この国の歴史。言語は大丈夫だが、数学も独特な計算方法で前世の記憶のせいで混乱する。
つまり、全く持って有利では無い。
「無理、全然ダメ。本当に無理」
しかし、宿題を終わらせないと苺を探しに行けない。そして、提出しなければ、先生に雷を落とされる。さらに、休み明けにはテストがある。
というわけで、さすがにやらないわけにいかない。
決意を固めて、顔を上げて、机に置かれたお茶を飲み干す。氷が溶けて味が薄くなってるけど、乾いた喉に冷たいお茶は美味しい。
コップを置いて、鉛筆を持つ。今取り組んでいるのは数学の問題集だ。
宿題VS私。
その熱い戦いが幕を上げる! まず最初に繰り出されたのは、文章題。どうするのか私!
次回 さよなら、文章題!
なんて、次回予告を考えながら、問題を解いていく。
この調子なら、多分、今週中には終わるだろう。多分きっと……おそらく……いや、絶対。
窓からいい感じに涼しい風が入ってきた。
世界ががんばれー、と言ってる気がするなんて都合よく解釈をする。
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ふりかけカスタード - きゅうりが死因w更新楽しみにしてます! (2017年8月21日 13時) (レス) id: f6c6c4268e (このIDを非表示/違反報告)
ルピナス@桜飴(プロフ) - 従順なこいぬさん» 返信・更新が遅くなり申し訳ありません。コメントありがとうございます、本当に嬉しいです! (2017年6月26日 21時) (レス) id: f79117ebd7 (このIDを非表示/違反報告)
従順なこいぬ - 面白すぎて、夜なのに思い切り吹き出してしまいましたw (2017年4月3日 22時) (レス) id: 05eb78a7ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ娘 | 作成日時:2016年5月30日 12時