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碧視点
碧「ここは…」
聞き慣れた声。見慣れた廊下。そして、1人たたずむ俺。間違いない。これは俺の家だ。

母「もう何度言えば分かるの?!あの子は返しましょう!」

父「捨てるのなんて間違ってるだろ!」

母「捨てるなんて言ってない!返そうって言ってるの!施設に!」
いつもの会話だ。俺には3つ下の弟がいた。施設から無料で預かれたらしく、ちょうど俺の兄弟を探していてたまたま見つけたらしい。だが、そいつは普通ではなかった。瞳の色が人と違うらしい。どうでもいい話だった。

弟「お姉ちゃん。施設って何処にあると思う?」
弟が半泣きになりながらそう言った。弟の足、腕、体には新しいものから古いものと様々な痣があった。

碧「…分かんない。ごめんね…ごめん」
その時の俺は弱かった。誰も助けられない。たった1人の弟でさえ。その時は。その時の俺は。

9歳のある日。弟が抑えられながら車の中に押し込まれていた。出して!そう言って、必死に叫んでいるように見えたが、声が聞こえない。慌てて、俺もその車に乗ろうとした。大人の人にその時初めて殴られた。怖かった。痛かった。それでも、弟を助けたかった。だから、車庫にあったスプレーで髪に色を塗った。それを指さして私だって普通じゃない!そう叫ぶと俺も車に押し込まれた。

そこからは地獄の日々だった。何かも分からない薬。得体の知れない。見たことの無い生物と戦わされた。俺の力じゃダメだった。死ぬって悟った時、その時俺と一緒に戦ってくれてた男子2人が守ってくれた。凄く強かった。優しかった。

その2人に逃げようと言われたときは驚いた。逃げた先は学校の近くにあった公園。綺麗とは言えなかったが、まだまだ使えた。そこを秘密基地として仲間を広げていった。俺は、25番目の仲間だった。

落ち着いて来た頃。施設の奴らが攻めてきた。

俺はその時皆を助けたくて。

もう強いって思ってて。

指示を聞かないで出しゃばって。

  を殺した。

その後から…もう、誰も失いたくなくて。

俺の周りに来て欲しくなくて。

好かれたくなくて。

愛も、美空も、鈴も皆捨てた。

千尋「ふざけんな!何でそんなあっさり仲間を捨てんの!なんで!」

碧「お前には関係ねぇだろ!」

千尋「仲間を大切にしろよ!」

碧「仲間なんていらねぇ!仲間だなんて思ってねぇ!」

千尋「 は! は、仲間だったのに!お前のせいで死んだのに!」

あー。最後はお前を捨てたのか。

碧「…ごめん」

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作者名:みむ | 作成日時:2022年2月13日 21時

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