10話 ページ10
初めてのキスだった。
ファーストってやつ。ほんとに中高と彼氏はいなかったしバイト先でも特に男関係があった訳じゃない。
特別モテるわけないでもないし、どちらかと言えば女子にモテたくらい。
昔から男っぽい性格のせいか男友達からは女と思われることもなかった。
つまりは、私は男として見られていたのだから当然寄ってくるもんも寄ってこないわけだ。
だから、
唇に当たる柔らかさも、あつい熱も。
全部が初めてのはずでしょ?
『・・・・・ッ』
なんでこんなにも懐かしく感じるの
それからどれくらい経ったか分からない。
1分・・・・・いや、わずか10秒だったかも。
離れた唇がまだ熱を持っていて、正直全部を投げ出したくなるほど恥ずかしい。
少し先で私を見下ろす瞳は満足そうに細められているから思わず私は手元にあったぬいぐるみをソイツに投げた。
自業自得。そのまま地に還れ。
「手前・・・・・いつからこんなにも凶暴に」
『何、その言い方。まるで昔の私を知ってるみたいに言ってさ』
とりあえず距離を取ること。これ大切。
えぇっと、それでどうするんだ?
何か武器を持って、襲われないように背後には気をつける。
・・・・・武器が無い場合の対処法なんて私知らないよ・・・!?
鼻を押さえて立ち上がった中也はジリジリとにじり寄ってくる。
やばいピンチ。男友達はいたけどもちろんこんな経験なしだし、そもそもファーストキスな時点でお分かりのようにどう対処すればいいか全くもって分かりません。
あぁ、これが絶体絶命ってやつ?
「誰が手前みたいな可愛げのない奴襲うかよ。もっと色気のある声だしやがれ」
『はぁ!?じゃあ今私のファースト奪ったお前はなんなの!?』
大体その変わりようは何ですか中原さん。
初めて会った時の貴方は・・・・・そう。猫だ!
誰にも心を許さず、主人の後ろを守護するかのように付く。
でも、今の貴方は肉食動物そのもの!
目の前にある獲物を肉としか見てないただの化け物!
この女の敵め!!
「・・・・・そうかよ。やっぱ覚えてねェよな」
彼は寸前のところで床に座り込んで頭を抱えてしまった。
「______今から5年前。俺の元にとある女が訪れた。ソイツは俺が担当することになって、
名は、
Aだった」
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天さん(プロフ) - 小松七さん» あ、ありがとうございます!!(´;ω;`)可愛い&ちょっぴりワケありな中也書けるように頑張ります!! (2017年9月25日 16時) (レス) id: e35c262d1b (このIDを非表示/違反報告)
小松七 - 中也さんがあぁ!!え、ちょま、、、可愛過ぎだろ!凄く気になりますので更新頑張って下さいね!無理のない程度に。 (2017年9月25日 0時) (レス) id: 69007943fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天さん | 作者ホームページ:http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時:2017年9月12日 23時