19話 ページ21
『中也。ストーカーに会いに行っていい?』
太宰さんと中也が何故か睨み合っている光景に飽きてそう言えば、中也はポカンと私を見た。
「手前マジで言ってんのか?」
『はぁ?中也が会いに行けって言ったんじゃん!』
なんだよコイツ、と心の中でだけ悪態をついて太宰さんに向き直る。
中也よりも身長が高い彼を見上げるのはちょっと疲れる。
なんだかモデルさんみたいで緊張するというかなんというか・・・
それに、太宰さんの目はどこか引き込まれる闇がある気がする。
あくまで"する"だから気のせいだと思うけど。
『あの、記憶が所々抜けてて色々思い出せないんですけど、ストーカーは捕まったんですか?』
私の隣に中也が並ぶ。
なに?という意味を込めて見ればふいっと逸らされてしまった。
何故かな?中也
そんなアイコンタクトをしてる間にも太宰さんは笑顔を消さない。
それはどこか不気味だった。
「いや?Aちゃんは面白い事を言うね。
ストーカーは私だというのに」
え
『な、何言って』
その笑顔を見て私は体が凍りつくのを感じた。
ぶわっと嫌な汗が体中から出てまともに呼吸ができない。
ゆっくりとした動作で太宰さんがポケットに手を突っ込んだ。
そして出された手には数枚の写真。
『・・・ッ!』
全部私だった。
私が写っていた。
「やっぱり本物はいいね。写真なんか比べ物にならないくらい、すっごく綺麗だよ」
うっとりと写真に口付けを落とす姿は狂ってるとしか言いようがない。
ゾクリとするほど彼は私を見つめた。
ガタガタと震えが止まらなく体はもはや使い物にならなくて、逃げることすらできない。
だって、だって太宰さんは私の依頼を受けてくれて、ストーカーをどうにかしようとしてたんじゃないの?
中也が無理な依頼を解決できる人じゃないの?
『そ、ん・・・・・な』
周りが暗くなるのを感じた。
太宰さんから目を離せない。
金縛りにあったみたいな感覚は私を徐々に苦しめるように迫ってきた。
だが、次の瞬間
「その辺にしとけ太宰」
『ッちゅ、うや・・・?』
ふわりと優しく握られた右手。
暗かった視界はゆっくりだが明るさを取り戻していく。
見えたのは中也の横顔で、中也が一瞬だけコッチを見たと思ったらもう何も見えなかった。
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天さん(プロフ) - 小松七さん» あ、ありがとうございます!!(´;ω;`)可愛い&ちょっぴりワケありな中也書けるように頑張ります!! (2017年9月25日 16時) (レス) id: e35c262d1b (このIDを非表示/違反報告)
小松七 - 中也さんがあぁ!!え、ちょま、、、可愛過ぎだろ!凄く気になりますので更新頑張って下さいね!無理のない程度に。 (2017年9月25日 0時) (レス) id: 69007943fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天さん | 作者ホームページ:http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時:2017年9月12日 23時