11話【過去編】 ページ11
【no-side】
｢ふぅん。依頼ねェ｣
ランチのサンドイッチ片手に分厚い資料に目を通しているこの男こそ、中原中也。
黒い帽子にラフな格好。肩に垂れ下がる橙色の髪はその存在を主張するかのようにライトに照らされていた。
彼の仕事は何でも屋。その名の通り何でも引き受け解決する仕事だ。猫探しから人殺しまで。
その客が望むものなら叶えるをモットーに日々街を駆けている。
本来なら相棒も来るはずだが今日は別仕事でこの場にはいない。
とあるカフェにて、中原中也の元へ訪れた一人の女は震える体を抑え込むように薄っぺらい鞄を胸に抱いていた。
制服姿で何も頼まずにジッと息を潜めるかのようなその女に中原は不信感を覚えた。
｢(生蘭中学ね･･･。)それで、依頼内容ｯてのは？｣
鞄と制服にさらりと視線を移して中原は考えた。
今のこの時間は1番店が混む時間。つまりはお昼時。
中学生がウロチョロしていい時間ではない。
俺が言えた事ではないが。
『あの、解決できますか？』
その女は机に落としていた視線を上げ、中原の目を見据えた。
僅かに竦んだ中原は最後のひと口をペロリと飲み込んで続けた。
｢内容次第だ。俺達の仕事はその名の通り依頼内容は何でも構わねェ。
だが、虐めてる女を殺して欲しいッて願いなら帰れ。餓鬼が居ていい時間じゃねェ｣
話は以上だと言うように中原は机に広げていた資料を片付け始める。
女は動かなかった。
｢じゃあな餓鬼。勉強頑張れよ｣
鞄に資料を詰め込んでお代を机に残して店を去ろうとした。
しかし、動かなかった女が一つため息を吐いたのだ。
お腹の底から吐き出すように深く。
『___そうですか。では、貴方は何でも屋失格ですね。餓鬼だから何ですか？私は依頼主です。金ならいくらでもある。こんないい客放ったらかしで帰るのですか？』
心底残念です。
女はそう吐き捨てて店を出た。
取り残された中原は一度立った席にもう一度座り直してさっきの女よりも深いため息を吐いた。
｢あんな事言える餓鬼が何をご所望だよ･･･。こりゃ逃したら太宰の野郎に何を言われることか･････｣
餓鬼だの何だの言ってはいるが自分と近い歳。
｢面白いじゃねェか｣
心の底からゾクリとするこの感覚。
久しぶりの大物に、中原は歳に似合わずその口元を愉快に歪めた。
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天さん(プロフ) - 小松七さん» あ、ありがとうございます！！(´；ω；｀)可愛い＆ちょっぴりワケありな中也書けるように頑張ります！！ (2017年9月25日 16時) (
レス) id: e35c262d1b (このIDを非表示/違反報告)
小松七 - 中也さんがあぁ！！え、ちょま、、、可愛過ぎだろ！凄く気になりますので更新頑張って下さいね！無理のない程度に。 (2017年9月25日 0時) (レス) id: 69007943fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天さん | 作者ホームページ：http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時：2017年9月12日 23時
