File 25 旅行がよかったなぁ ページ35
羽田の新国際線ターミナルで、ヴェスパニアの記者会見が行われる会場。そこに小五郎と高木、それにコナンと真尋は居た。
記者たちがひしめく部屋の戸枠に手をかけて、小五郎は「いいな」と低い声で言う。
「会見が始まったら蘭を連れ戻す」
「はい」
高木が頷いた。
「辞表も書きました」
「辞表で済むかなぁ……」
ぼそりと呟いたコナンに、「国家に喧嘩売っといて辞表で済むはずないでしょ」と真尋が答える。
その時、キィン、とマイクのハウリング音が響いた。ヴェスパニアの人間が来たのか、と部屋の中を覗き見る彼ら。
『えー、急遽本国の都合により、会見できなくなりました』
その司会の言葉に、一気に会場が騒めき立った。小五郎が会場に押し入り、司会に掴みかかって「アイツらの居場所はどこだ!」と叫ぶ。
「も、もうすぐ出発するところですっ」
それを聞いた瞬間、コナンがくいっと真尋の服の袖を引っ張った。真尋はその意味を読み取り、すぐさまコナンを右腕で抱き上げて走り出す。
「どうするの?」
真尋はコナンを抱え上げたまま聞くと、コナンは「決まってる」と目を眇めた。
「乗り込む」
「……嘘でしょ。飛行機落ちるフラグ立てたいの?」
どこか違う視点で嫌そうな顔をする真尋。しかしコナンが意見を翻す気がないとみると、まぁいいやと呟いた。
「飛行機違うけどそれでもいいでしょ?」
「どういうこと?」
コナンが鋭い目線で尋ねる。
「死神が乗っても落ちない飛行機用意したんだから。大変だったよぉ〜」
軽口を叩きながら空港のVIP専用通路から空港の端に用意された小型飛行機に乗り込む。
コナンを座席のベルトにしっかり固定する。繰り返す。しっかり固定。
冷静な真尋に対してコナンはツッコミを入れる。
「ちょっと待って。なんでこの飛行機準備されてたの?てか、この機体だとヴェスパニアまで給油なしでいけるの?誰が運転してるの!?」
「うるさいなぁ。蘭ちゃんを助ける白馬の王子様は黙って従ってて」
真尋はコナンを座席に固定し、パソコンを投げつけコクピットに向かった。
コナンがパソコンを確認するとヴェスパニア国の内情・株価などありとあらゆる情報が乗せられていた。
コナンの真尋に対する疑問はそれを見るうちに払拭されていった。
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綺藤(プロフ) - ふきさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです(´∀`*)更新は遅いですが、これからもよろしくお願いします!! (2018年8月19日 21時) (レス) id: 72513d01c9 (このIDを非表示/違反報告)
ふき(プロフ) - 面白いです!何回見ても飽きません!更新待ってます。これからも頑張ってください。 (2018年8月16日 11時) (レス) id: 3e86faee5c (このIDを非表示/違反報告)
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