◇ ページ29
◇◇◇
真尋がふと、コナンに声を掛けた。
「死神」
「何？」
「さっき、ソムリエとすれちがったんだけどさ……」
続いた真尋の言葉に、コナンは眉を顰めた。
◇◇◇
乾杯の挨拶をするということで、ミラ王女は注がれたワインを手に取り立ち上がった。
「――飲んじゃダメだ！」
コナンの大声に、ミラが手を止めた。
「ごめんなさい、王女様。でもそのワイン……注いでくれたその人に味見してもらってよ」
口角を上げるコナンに続いて、「飲めるよね、もちろん」と真尋がソムリエを見据えていい笑顔で追い打ちをかける。
「ヴェスパニアの王族に飲ませようとしたワインだ。まさか、薬品や毒物が入ってる……なんてことはないでしょ？」
その言葉に、偽のソムリエは顔を歪めて逃げ出す。やれやれと言わんばかりの真尋に「真尋さんボケっとしてないで！」とコナンが手を引っ張って走り出す。
「面倒……」
「少しはやる気出せ！」
「まさかこんなにレベルの低い暗殺とはね……素人すぎてワロタ」
「笑えねーよ！」
実に緊張感のない会話を交わしつつ、真尋が前に立ってするすると人混みを抜けていき、その後ろに開いた隙間をコナンが駆け抜ける。
人混みが開けた所にちょうどトイレの出入口があり、そこから小五郎が現れた。コナンが「おじさん！ そいつ捕まえて！」と叫ぶ。
折り畳みナイフを出した犯人だったが、小五郎は動揺せずにハンカチをポケットにしまう。
そして向かってきた犯人が突き出したナイフの軌道を手首に手刀を入れて逸らし、鳩尾に拳を入れて怯ませ、更にナイフを持っていない手を掴んで綺麗に背負い投げを決めた。
「……え、小五郎さん強くない？」
「おっちゃんは元敏腕刑事だよ」
「嘘でしょ。ねぇ、嘘でしょ」
「気持ちは分かるけどそこ即答かよ」
「この世界やっぱおかしいわ」
「おめーもな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 85人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
綺藤(プロフ) - ふきさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです(´∀｀*)更新は遅いですが、これからもよろしくお願いします！！ (2018年8月19日 21時) (
レス) id: 72513d01c9 (このIDを非表示/違反報告)
ふき(プロフ) - 面白いです！何回見ても飽きません！更新待ってます。これからも頑張ってください。 (2018年8月16日 11時) (レス) id: 3e86faee5c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
