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◇◇◇
「真尋さんって……」
園子がマジマジと真尋を眺める。
「……着慣れてる、わね?]
真尋はその言葉に、少し首を傾げてみせる。自前で持っていたパーティードレス(オーダーメイド)を着て、髪を整えただけなのに、随分と手慣れた印象を受ける姿へと変化した。
「まぁ、こういうのは大学の論文発表やら会議やらでよく出席したからね。最近はご無沙汰だけど」
「会議ってなんだ?」
小五郎の言葉に真尋は軽く微笑んで腕を上げ、ウェイターの持つトレイからワインを受け取った。
「しっかし似合いすぎだわぁ!彼氏いるでしょ!?」
「ん?まあね。いないわけじゃないよ?(護衛艦という名のイケメンがね)」
真尋の心中を察したコナンがひとつ苦笑をこぼした。
◇◇◇
パーティーが中盤に差し掛かると、サプライズゲストの登場があると司会が突然言った。現代ではもう稀有なものとなった王政制度で成り立っている国、ヴェスパニア王国の第一継承権を持つミラ王女の登場である。
実はこの王女――毛利蘭にそっくりであった。
「オイオイ……」
「色素濃度の違いはあれど、一卵性双生児並だね。死神、襲うなよ?」
「殺されたいの?」
「タダ飯食うぞ!」とはしゃぎ、姿が見えなかったはずの真尋だが、いつの間に戻ってきたのやら、コナンの横に立ってミラ王女を眺めていた。
「美人で王女……私生きてていいの?」
「大丈夫じゃない……?」
そんな会話は司会の声に中断され、二人はミラ王女の方に視線を向けた。司会がミラ王女に質問を始めるが、ミラ王女は唇を引き結んだまま、後ろのキース=スティンガー伯爵が一つずつ答えていく。
客たちはその態度に戸惑いを覚えるなか、真尋はポソリと呟いた。
「……この前の事件。サクラ女王とジル王子は、狩猟中の事故ということで死亡したはずだね」
「ああ……」
コナンも低い声でそれに応じる。
「本来ならサクラ女王が来るところだったし、普通は王女も来日中止になるだろうがな……」
「政治の世界は大変だからねー……」
ぽつぽつと二人は言葉を交わした。
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綺藤(プロフ) - ふきさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです(´∀`*)更新は遅いですが、これからもよろしくお願いします!! (2018年8月19日 21時) (レス) id: 72513d01c9 (このIDを非表示/違反報告)
ふき(プロフ) - 面白いです!何回見ても飽きません!更新待ってます。これからも頑張ってください。 (2018年8月16日 11時) (レス) id: 3e86faee5c (このIDを非表示/違反報告)
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