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「大丈夫なの?」
真尋は車の中で赤井に声をかける。
「ああ、ただの観光客だった。あと俺の協力者」
真尋はため息をついた。
「FBIは一体何をしてるのよ……」
そう、ここは通り魔が逃げたとされるエリア。FBIが包囲網を敷き、袋のネズミ状態にしているはずだったのだ。
現場入りした真尋と赤井。通り魔を探しているとまさかの観光客に遭遇したわけだ。
「彼女たちのどちらかが通り魔の変装とかじゃないんでしょうね。私、雨でよく見えなかったんだけど」
「FBIの奴らの手際はおざなりだが、俺や奴の力を疑う必要はない」
相変わらず自信家だな〜。それにその協力者、相当信頼されてるじゃん。
本当にいるのかね?ベルモット。
「あの組織が私やあんたを狙ってるなんて、信じられない」
と真尋は笑って答えた。命が狙われているのにも関わらず余裕そうだ。
「それよりもさ、私に内緒で浮気するなんてひどくなーい?」
赤井がスッと目を細めた。
「誰か知らないけど、ハッキングの腕は中々……いや、最強レベルだね」
敵にしたくなーい、と笑っている。
「組織のベルモット。もとい、通り魔の図式は合ってるんだよね?問題はなんであんたと、私を狙うのか」
「図式は完璧だ。その指紋がいい証拠だろう。俺を狙う理由は明白だが……お前を狙う理由は、危険分子の除去といったところだろうな」
ハンドルを切りながら赤井は真尋にそう告げる。
「あともう一つ。……なんであんたが私よりその子を信頼するのかってことよ」
「一つだけ忠告しよう。奴のことを調べたりするなよ。奴はあくまでも国際指名手配犯だからな。ああ、そう言えば。お前に伝言を言付かっている。……『死にたくなければ妙な行動は控えろ』とさ」
赤井の口は端にニッと寄せ、
「そしてお前は奴に嫉妬か……」
「殺されたいの?てか何よ、その伝言」
その後、通り魔は自死した状態で捕まった。
真尋は結局赤井の知り合いのクラッカーに出番を取られ、現場で指揮すること以外やることはなかった。
そのことに関して真尋は不満たらたらだったが赤井は真尋にケガがなかった時点で安心した。
赤井にクラッカーを紹介しようかと言われたが『ふざけるんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ』とぶち切れられたのは余談だ。
真尋は知らなかった。この観光客の少女と再び出会うことになるとは。そして自分がこの少女に目をつけられているとは。
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綺藤(プロフ) - ふきさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです(´∀`*)更新は遅いですが、これからもよろしくお願いします!! (2018年8月19日 21時) (レス) id: 72513d01c9 (このIDを非表示/違反報告)
ふき(プロフ) - 面白いです!何回見ても飽きません!更新待ってます。これからも頑張ってください。 (2018年8月16日 11時) (レス) id: 3e86faee5c (このIDを非表示/違反報告)
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