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「お嬢さん。今、海難救助隊がこちらに向かってます。後は彼らに任せた方がいい……」
立石艦長が説明する中、私は唇を噛み締めた。脳裏に蘭ちゃんの笑顔がよぎる。五時になると水温が急激に下がるというのは私も知っていることだった。腕時計を見ると――もうすぐ五時になろうとしている。
もう時間がない。でも、何か方法があるはずだ!蘭ちゃんを見つけるいい手が――!!
「何でだよ!」
元太君の声がして、私はハッと顔を上げた。
「何で探すのやめんだよ!」「絶対見つかりますから!」「あきらめないで!」
子どもたちは泣きながら立石艦長らに訴えた。しかし立石艦長や七海さんは黙ったまま目をそらした。
「オイッ、何とか言えよ、おじさん!」
元太君が泣きながら叫ぶと、目暮警部が佐藤刑事と高木刑事に目を向けた。
「これ以上ここにいても捜索の邪魔になるだけだろう。外で待機しよう」
高木刑事がうなずき、「さぁ君たちも食堂に戻ろう」と子どもたちに声をかけた。
「いや!絶対に動かないもん!」
「オレたちが探してやんねーと!」
私は泣きながら訴える子どもたちの姿を見つめた。
「この船ってスゴイんですよね!?」
「海の名探偵なんだろ!?」
その元太君の言葉に目を見開く。
海の名探偵――……それは、光彦君が中央甲板でレーダーを見たときに言った言葉だった。
そうか!ここにはあのレーダーがある!……このイージス艦なら、蘭ちゃんを見つけることができる――!!
◇◇◇
子どもたちの必死の訴えもむなしく、立石艦長はマイクを持つと苦渋の指令を出した。
「本艦は十七時をもって遭難者救助を専門機関に委託!舞鶴港へ寄港――」
「まだよ!」
私の叫び声がCIC中に響く。一斉に全員が私に注目する。
「まだ蘭ちゃんを探し出す方法は残ってる!」
「でも……どうやって?」
子どもたちを連れて行こうとした高木刑事がたずねる。
「蘭ちゃんは電波時計をしてる!その時計の発する微弱な電波をレーダーで拾えば可能性はまだ残ってる!電波の受信時間は午前と午後の五時ジャスト!――艦長、時間がない!早く!!……時間がなくても自衛官ならいけるだろ!?海上自衛隊のイージス艦のレーダーの威力みせつけたれやぁぁぁぁ」
私が決断を迫ると――立石艦長は顔を引き締め、大きくうなずいた。
「ただちに電波探知装置用意!!」
艦長の命令に隊員たちが一斉に動き出した。
「午後五時まで残り一分四十秒――行けるな!?」
「やってみせます!」佐久間さんがヘッドフォンをつけながら返事をした。
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綺藤(プロフ) - Mahoさん» ありがとうございます!!そう言っていただけると幸いですヽ(*´∀`)ノこれからもよろしくお願いいたします(*^^*) (2018年8月10日 9時) (レス) id: 860dd52b69 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - 夢主ちゃんのキャラ好きです!更新頑張ってください。 (2018年8月9日 0時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - 読ませていただきました!とても面白かったです! (2018年8月9日 0時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
綺藤(プロフ) - 美空さん» ありがとうございます! そう言っていただいて嬉しいです! これからも更新頑張りますのでよろしくお願いします(*^^*) (2017年11月24日 22時) (レス) id: 860dd52b69 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - 続編おめでとうございます!更新楽しみにしてます!夢主ちゃんめちゃくちゃカッコいいですね(^^)うらやましいです(´・ω・`) (2017年11月24日 0時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
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