検索窓
今日:3 hit、昨日:11 hit、合計:65,047 hit

ページ2

飛行甲板から哨戒ヘリコプターが舞い上がり、イージス艦を追い越すと、サーチライトで大海原を照らしながら進んでいった。


「遭難者の体力を考えると一刻の猶予もない。何としても日没までに探し出すんだ!!」


CICの立石艦長が無線でヘリコプターの飛行士に指示すると、


「一刻の猶予もないって……蘭は……蘭は無事なんですよね!?」


園子が顔を覆って泣き出した。佐藤が優しく園子の肩に手をかける。


「あの甲板から落ちたらどうなるんですか?」
「一応、救命胴衣は着けれるはずですが……この高さです。打ちどころが悪ければ…」


井上が言葉をにごした。園子が「そんなッ……!」と顔を上げる。


「もちろん、希望はあります」


と立石艦長は言ったが、園子は「蘭ッ……蘭ッ……!」と泣き崩れた。


「わあああ!」「いやだっ!」「蘭さん……ッ!」


そんな園子ちの姿を見て子どもたちもが泣き出し、


「お姉ちゃん……ボクのせいで……」


勇気もポロポロと涙をこぼした。
子どもたちの泣き声に、目暮は沈痛な面持ちで立石艦長にたずねた。


「何か安否を確認する方法はないんですかな?」
「今は哨戒ヘリに任せるほかありません……」
「可能性は低いですが、地元の漁船と通信をとってみては!?……海保と連携は取れてるんですよね!?」


真尋が立石艦長に進言する。そこには自分では何もできないことへの憔悴が現れていた。
コナンは立石艦長の言葉を聞いて歯がみした。


(クソォ……捜索範囲が絞られたとはいえ、日没までにあの範囲を見て回るなんて不可能に近い。ましてや蘭は、波に流され動き続いている可能性が……!)


◇◇◇


薄暗い海の波間から蘭が「はあッ」と顔をのぞかせた。が、すぐに高い波に飲まれて見えなくなった。
蘭は再び海の中へ沈んでいた。救命胴衣の裂け目から漏れる空気がボコボコ上がっていく。


(た……助けて……新一ー……ッ)

◇→←File 13 絶海の探偵第十一章



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (41 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
109人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

綺藤(プロフ) - Mahoさん» ありがとうございます!!そう言っていただけると幸いですヽ(*´∀`)ノこれからもよろしくお願いいたします(*^^*) (2018年8月10日 9時) (レス) id: 860dd52b69 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - 夢主ちゃんのキャラ好きです!更新頑張ってください。 (2018年8月9日 0時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - 読ませていただきました!とても面白かったです! (2018年8月9日 0時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
綺藤(プロフ) - 美空さん» ありがとうございます! そう言っていただいて嬉しいです! これからも更新頑張りますのでよろしくお願いします(*^^*) (2017年11月24日 22時) (レス) id: 860dd52b69 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - 続編おめでとうございます!更新楽しみにしてます!夢主ちゃんめちゃくちゃカッコいいですね(^^)うらやましいです(´・ω・`) (2017年11月24日 0時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:綺藤 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年11月12日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。