File 13 絶海の探偵第十一章 ページ1
大海原を進んでいた『ほたか』が大きく弧を描いて船首の向きを変えると、艦内が傾いて食堂の自販機の前をペットボトルがゴロゴロ転がっていった。
「きゃあ!」「ママ!」
立っていた乗客はその場にしゃがみ込み、子どもたちは親にしがみついた。
航路を引き返した『ほたか』は全速で進みはじめた――。
◇◇◇
CICでは立石艦長、関口、丸山が緊迫した表情で机に広げた海図を囲んでいた。
「Xの供述によると、毛利蘭さんが落ちたのはこの辺りです」
関口が海図を指さすと、立石艦長は「かなり進んでしまったな……」と顔をしかめた。
そのとき、七海を先頭にコナンや子どもたち、そして真尋が入ってきた。
「ちょっと君たち!」
隊員がコナンたちを止めようとすると、立石艦長が「かまわん!」と叫んだ。
「それよりも哨戒ヘリを急げ!」「は、はい」
◇◇◇
私たちの後ろから警視庁の刑事たちも入ってきて、私たち大人は海図が置かれた机を囲んだ。井上さんが潮汐推算図を持ってきて机の上に広げ、
「潮の流れを計算させました。この範囲にいるはずです」
ペンで囲まれた部分を指さした。立石艦長が目を見開く。
「そんな……!通常の予定の四倍はあるじゃないか!」
「南西から来ている低気圧の影響で、海流の足が速くなっているんです」
井上さんが説明すると、関口さんも険しい顔をした。私は「ちょっと待って」と声をかける。
「低気圧の関係があるならここの範囲は外していい。現実的に言ってこんなに近くにはいない可能性があるでしょ。それに波も高くなり始めてる。蘭ちゃん――遭難者の体力を考えると、一刻も早く発見しないと……」
海上自衛官の面々が驚くが、「……その可能性が高いです」という井上さんの言葉で納得したようだ。
◇◇◇
真尋たちの会話を聞いていたコナンはクッ……と歯がみした。勇気や子どもたちは今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「哨戒ヘリ準備できました!」
「よしッ、ただちに出動!」
立石艦長の命令で隊員たちが一斉に動くと、
「ボクも乗せて!」
コナンが前に出た。すると真尋がコナンの襟をつかんで持ち上げた。
「バカ言うな!」
「でも……ッ」
「自衛官が信用できないの!?君がいたって何もできることはない!……君はここにいて指令を出すべきだよ」
最後の言葉は絞り出すようなそんな声だった。
(クソォ……蘭……!)
コナンは悔しそうに固く唇をかんだ。
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綺藤(プロフ) - Mahoさん» ありがとうございます!!そう言っていただけると幸いですヽ(*´∀`)ノこれからもよろしくお願いいたします(*^^*) (2018年8月10日 9時) (レス) id: 860dd52b69 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - 夢主ちゃんのキャラ好きです!更新頑張ってください。 (2018年8月9日 0時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - 読ませていただきました!とても面白かったです! (2018年8月9日 0時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
綺藤(プロフ) - 美空さん» ありがとうございます! そう言っていただいて嬉しいです! これからも更新頑張りますのでよろしくお願いします(*^^*) (2017年11月24日 22時) (レス) id: 860dd52b69 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - 続編おめでとうございます!更新楽しみにしてます!夢主ちゃんめちゃくちゃカッコいいですね(^^)うらやましいです(´・ω・`) (2017年11月24日 0時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
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