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上司の上司なんて、会うことなんて滅多に無いし、キャリア組は現場のことを知らないと嫌う現場の捜査官も多い。その中でも山河警視正は現場を信頼してくれている良い上司だと言われている。現場の失敗は責任者の失敗。そういうのはドラマでやってろ!と思う。しかし、彼は現場を手放す時は手放し、支える時は支える。まあ率直なところ、世渡りがうまいのだろう。
「降谷くん」
今後の方針を決定し各係に役割分担を言い渡された帰り、山河警視正に呼び止められた。
降谷さんのお付きだったので自然に俺も止まる。目で席を外せと言われなかったのでそのままいる。
「優秀な
七瀬さんのことだということならすぐにわかった。
彼女の報告書はとてもわかりやすいと評判だった。
そこに、経験値を加味すれば完璧だと歴戦練磨の公安捜査員からも言われていた。
「彼女の背後関係は大丈夫なんだろうね?」
あー、ここか。
痛いところと言われれば痛いのだ。
彼女の背後関係は繰り返し洗っている。もちろん降谷さんの妹さんの未帆さんことクラッカー〈Hellcat〉にも依頼している。
今現在問題になっていることは防衛関係からリークされたというくらいで問題では無い。
ただ、ここは万全に万全を期しても常に疑わなければならない現場だ。
「彼女が裏切ると……?」
「可能性はゼロでは無いだろう?」
降谷さんは静かに考えた後、絶対零度の微笑みで答えた。
「彼女が我々を裏切る時は、この国に絶望した時です。彼女の愛国心は疑いのないものです。そうですね……私のクビをかけても良いですよ」
なんでだろう。言っていることはえげつないけど、この人なら納得できる。
クビをかけるなんて普通できない。この世界なら裏切られて、裏切るなんてよくあることだ。そんな中で降谷さんは七瀬さんを信頼している。
二人の信頼関係を見せつけられた感じがしてどことなく悔しい。俺の方が長く降谷さんの元で仕事をしているのに。
「まぁ、私情もありますけどね……」
山河警視正が去ったあと、ボソリと呟いた言葉は聞かなかったことにした。
「風見。七瀬からの報告は?」
「ありますが、特筆するほどでもありません。本人は2日前に京都に入り観光中だと思われます」
「あのやろ。お菓子と奴の好きなキャラクターグッズを集めてくれ。奴が帰ってきた時に死ぬほど働かせてやる」
降谷さん、隠せてませんよ。七瀬さんから報告が来た安堵と、帰ってきていない不安感。
こんな上司の姿を見てるのは長年一緒に仕事をしてきた自分だけだ。
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綺藤(プロフ) - Mahoさん» ありがとうございます!!そう言っていただけると幸いですヽ(*´∀`)ノこれからもよろしくお願いいたします(*^^*) (2018年8月10日 9時) (レス) id: 860dd52b69 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - 夢主ちゃんのキャラ好きです!更新頑張ってください。 (2018年8月9日 0時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - 読ませていただきました!とても面白かったです! (2018年8月9日 0時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
綺藤(プロフ) - 美空さん» ありがとうございます! そう言っていただいて嬉しいです! これからも更新頑張りますのでよろしくお願いします(*^^*) (2017年11月24日 22時) (レス) id: 860dd52b69 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - 続編おめでとうございます!更新楽しみにしてます!夢主ちゃんめちゃくちゃカッコいいですね(^^)うらやましいです(´・ω・`) (2017年11月24日 0時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
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