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手当をし終えて、ヤスくんは家に、横山とうちは学校に戻る。
今からならまだ、校内清掃と後夜祭には間に合いそう。
長い坂道をのぼりながら、
「A、ホンマに助けに来てくれてありがとう」
うちの顔を覗き込んで真っ直ぐ目を見て言う横山。
「「横山くんがAさんのこと……」」
酒井さんの言葉がこのタイミングでチラついたから
「……!!!!」
頭をブンブン横に振ってかき消す
「……ええねん、別に。横山が無事やったんやから。
当分あの西高のやつらは手ぇ出してこんやろ」
「もう、1人で無茶はせえへん。」
「うん、ぜひそうして。なんなら暴力じゃなくて話し合いで解決して。できれば」
「俺頭悪いから、やられたらやり返すしか方法を知らんねんなぁ」
「ほんま、これやからアホは嫌いやねん、ちょっとは勉強しろ」
なんて、ボヤきながら
門をくぐったら村上先生がいた。
傷だらけの横山をみて鬼の形相になって、
怒られる!と思った時に先生はうちを見て、
それはそれは大きく目を丸くして、
「A?!!?!お前どうしてん!?
…横山お前女の子に手ぇ上げたんちゃうやろなあああ?!!?!」
ってやっぱりすごい形相で怒ってきた。
「違う違う違う!先生聞いてください、
うちが、自分の意思でこうなるのを選びました!」
「……とりあえず2人とも生徒指導室来い!」
「……はい。」
人生で初めて入った生徒指導室では、
村上先生の尋問に対してうちが全部説明して、横山は気だるそうに隣で空を見つめていた。
学年1秀才のうちと一緒やったこと、これまでの事情と経緯を知って、なんとか後夜祭が始まる頃には解放してくれた村上先生。
やっぱあんまり怒らんかったらかっこええのになと思いつつ、感謝した。
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作者名:mamico | 作成日時:2019年7月1日 2時