天才とヤンキー (ページ21)

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橋の下の河川敷、

西高の制服の群れの中に、1人、うちの高校の制服が見える。しかも、この間みんなで作った改造版の制服衣装。

そして少し離れたところにもう1人。泣きそうになりながら動けないでいる。彼が多分、後輩くんやろ。

走ってる途中で、さっきの物音がした時に散らばったであろう鉄パイプを拾う。

｢重っ？！！｣

その群れは、横山に対して10名近く

こういうところが卑怯で嫌いやねん

｢…横山に手ぇ出しやがって…｣

｢……やんのかコルァァァァァァァ！！！！！！！｣

叫びながら鉄パイプを持って突進してくる、小柄な、変な女に、そいつらがうろたえる

｢オラァァァァァ！！！｣

わけも分からずとりあえず鉄パイプを振り回して、

飛びかかってきた1人のみぞおちに肘をお見舞いする。

｢うっ、！｣

｢えっ、A？！！｣

横山が間抜けな声を上げる

手をひっぱって、横山を立たせると、あばらを抑えながら目を丸く見開いて突っ立っている

｢おま、なんで来たん……てか何その｣

｢うるさいわ！！大事な時に居なくなって！！！こっちかていきなりあんたの代役やってから来たんやからな！！！！

とにかく今は、“ やる”で！！！｣

鉄パイプを持った変な女の登場にうろたえたそいつらを、その隙にどんどんなぎ倒す。

横山は後輩を庇いながら

｢二度と、横山とその後輩に、手ぇ出せんようにしたるわ！！｣

うちは鉄パイプで足元をなぎ払い、回し蹴りでとどめを刺す

何分そうやって戦ってたか、もはやわからん

我に返って気がつけば、西高の制服を着たやつらはみんなダウンしていた

倒れていたリーダーらしき男を上から跨いで、胸ぐらを掴む

あかんて、まだ我に返ったら
うろたえたらその隙にやられる

とっさに色んなことが頭ん中を駆け巡る

さっきのお化け屋敷のときの、入り口の女の子のことを思い出した

｢……次こいつらに手ぇ出してみ？

…大友組が黙ってへんで｣

｢お、大友組…？やべぇ…｣

あの女の子のドスの効いた声をありったけの力で真似して

そいつから手を離す

｢お、おい、お前ら逃げるぞ！！！｣

そう言って直ぐに西高のやつらは逃げて行って

河川敷に横山とその後輩とうち、3人残される

そのままうちは、へなへなと座り込んだ。