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1週間後 文化祭当日
昨日の前日リハーサルでは結構いい感じに仕上がってて、みんなも本番を楽しみにしてた
あ〜、今日成功するとええなぁ、と思いながら
「第67回 文化祭」の文字が可愛く踊る門をくぐる
楽しみ…… ん?
楽しみにしている自分にここでも気づく。
今までの自分とは大違い
勉強ができ過ぎるおかげで、敬遠されて、理解してもらえなかった昔のことを勝手に引きずって、
人の心に壁を作ってたこれまでのうち。
それを(強引に)ぶっ壊して、飄々とした顔で、まるでうちの事なんて大した人間でもないって感じで話しかけ続けてきたあいつは、
うちの中で出会いたくなかった人種やのに
少しこうしてみんなと交わることができる自分にしてくれたのは、紛れもない横山だった。
「……なんか腹立つな」
あいつに助けてもらっちゃうなんて
「あ、Aさん、おはよ〜」
クラスの女子に話しかけられる
これも今まで無かったことやなと思いつつ、教室まで一緒に歩いた。
うちのクラスは、文化祭1日目の今日は午前中、最終日の明日は午後、舞台発表の大トリを飾る順番だ
本番が近づく。
舞台袖で準備し終わり、待機するうちら。
そっと舞台を覗き、客の多さを確認する
こんなに生徒おったん、うちの学校?ってくらいおる
「監督、なんか一言ちょーだいよ」
ピンクのモヒカン頭(の被り物)をしたヤンキー役男子に声をかけられる
振り向くと、みんなが円陣を組もうとしていた
横山も、いる
「…ごめんな、個人的な話になるけど」
「うちは、正直友達作るのが苦手で、なんでうちが委員長やねんとか、思ってたんやけど……
横山とかのおかげで、こうして今円陣に入れてもらってるのも、ちょっと前の自分とは大違いすぎて、びっくりしてんねん」
みんなに、誰かに、感謝したいなんて気持ちがこんなに素直に出てくる自分になれて、良かったかも。
「みなさん、ありがとう
今めっちゃ楽しいわ
今日明日、楽しんで思いっきり頑張ろう!」
うちのかけ声で、みんながおー!と声を上げる
舞台袖だから全部小声でやけど。笑
「Aさん、最初委員長押しつけるようにさせて、ごめんな、」
酒井さんが声をかけてくる
「あ、ううん、ええねん……その、うちも最初変な感じで喋ってもーて、ごめんな」
あとは本番のかけ声を待つのみ。
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作者名:mamico | 作成日時:2019年7月1日 2時