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文化祭の準備に本格的に取り組まないけない時期になってきた。
なによりうちが脚本書かな始まらへんしな。
理系頭すぎて私も文章力はそんなに無いんやけど
脚本に取り組み始めて1週間。
あと1週間では完成させたいとこやな……
夏休みが明けたら9月には文化祭本番
逆算するとなかなか時間がない。
どうせ部活もしてないし
放課後教室に1人で残って文字がひとつも書かれてないルーズリーフとにらめっこ。
「うー、、、ん、」
書き出しをどうしたらいいのかわからんな……
と、1人でうんうん悩んでたら、
ガラ…
教室のドアが開いて、
入ってきたのは横山。
「あ、ドイツ語ちゃん、なにしてんの？」
「そっちこそ何しに来てん、
てか、また顔にアザ作ってるやん」
「おー、ちょっとな、後輩が3年にやられてたん助けてきてん」
案外仲間思いの優しいやつやったりするんかなこの人
別に知らんけど。
「ドイツ語ちゃんは？あ、もしかして劇のやつ？」
「あんたがこれ提案したせいでうちがめちゃくちゃ地獄やわ」
「絶対おもろくなるで、コントっぽくしようや」
「話聞いてんのかお前」
「始まりの場面は例えばこんなんどう？」
・
・
・
横山には意外にも、こういうセンスがあるみたいやった
「横山、これ……なんかめっちゃ面白くなりそうなんやけど」
「そうやろ？」
ハハハと自分で提案した脚本を読み返して笑ってる
｢……あんまりさぁ、1人で全部やろうとせんとってや｣
脚本から顔を上げた横山が私の目をまっすぐ見て言う。
｢ドイツ語ちゃ…Aのこと、俺はホンマに友達やと思ってるで？｣
"友達"という言葉
私が今まで捨ててきた言葉
なんでこの人はこんなにも、あったかいんだろう
｢え、や、泣かんでもええやろ！俺が泣かしたみたいやんけ！！｣
｢いや、ごめ、ごめん…泣いてなんかない｣
知らないうちに頬をつたった涙を乱暴に拭く。
これまでこんなにもうちの心を
動かした人間がいただろうか
ホンマに、なんで急に泣くねん…
とぶつぶつ言いながらティッシュを持ってくる横山は、
うちの中での4月の最悪の印象とは180度違う
｢うちも、友達やと思ってええの？｣
ああ、どこかでずっと羨ましかったんだなあ、
友達と昨日のテレビの話をするのも恋バナをするのも
冷めた目で見てたのに
羨ましかったんだ
この人が、私の心を溶かした
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作者名：mamico | 作成日時：2019年7月1日 2時
