天竜人の仰せのままに(男主)2 (ページ43)

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無駄だと思ってはいるが
彼女の肩を優しく叩いて
起こそうとした

「起きろ、A・・・・」

しかし、彼女は目を閉じたままだ
移植された彼女の体の所々には
暖かい光がともっている
誰の力か知らねぇが、ありがてぇ

「・・・A、帰るぞ、俺たちの家に」

彼女を抱き上げて
その部屋を出ようとしたとき
途端に、目の前が光に包まれた

「っ!!?」

敵襲かと思い
咄嗟に彼女を俺の体で覆い隠した

光が収まったところで
目を開けて、周囲を見渡した
・・・先ほどと景色が違う
Aを抱き寄せて、様子を見る
すると、誰からの視点の映像が流れる

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

すまない、すまない・・・
俺は何度も彼女に謝り続けた

『大丈夫、もう覚悟はできてる
それに、彼を信じてるから』

彼女は穏やかな笑顔で
眠っているマルコの手に触れながら言う
俺は歯を食いしばって、マルコを
魂たちの力で守った
そして

『いいか、お前じゃないからな
・・・天竜人を殺すのは、お前じゃない
この、俺だ』

『・・・ううん、私も協力してる
私も、貴方も・・・人を殺す・・』

俺は無言のまま、彼女に手を差し出した

『俺に、お前の体を貸してくれ』

彼女は、すぅと息を吸って

『・・・・いいよ
貴方の心を、私に貸して』

手を、俺の手と重ねた
瞬間、俺の心は彼女の体に入り込み
彼女の心は一時的に眠りに落ちた

それからは早かった
五老星の一人から、俺の剣を奪い
天竜人たちを虐殺した

『ぎゃああああああ!!!』

『た、助けろだえ!!!』

耳を貸すな、目を閉じろ
これは俺の復讐だ
殺せ、殺せ、奴らを許すな
全員一人残らず、殲滅しろ
噛みついて、肉を抉って
遥か昔の、この恨みを、忘れさせるな
大きな扉を破壊して中に入ると
何人もの人間がマントを着たままそこにいた

『おやおや・・・お前らは異世界人だな・・
Aとは別の種族の・・・・』

『・・・貴方には感謝してるよ
面倒な奴らを、殺してくれたんだから』

『あぁ?』

『これを見ろ』

そう言って、指導者らしき異世界人は
奥から誰かを連れてきた
その人物を見た途端に
彼女の魂が起きてしまった

『あぁ、そんな・・・っ
いや、いやっ・・・!』

カラン、と持っていた剣が落ちた
まずい
焦った時にはもう遅かった

『お前が大人しく、捕まれば
こいつは逃がしてやろう』

やめろ、そんなこと言ったら
こいつは、Aは・・・・!!

彼女は予想通り
素直に言うことを聞いた