天竜人の仰せのままに(男主)2 (ページ13)

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まだ用事があるため、部屋を出ると
そこにはナース長と天竜人の女がいた
察するに、天竜人が
Aの様子を見に来たのだろう

「・・・中で眠ってるよぃ
命に別状はないから、安心しろ」

「そ、う・・・」

「面会したいんですって
いいかしら?」

「構わねぇよぃ・・・
だが、あんまり刺激するなよ」

天竜人は、心もとない返事をして
警戒しながら、部屋の中に入った
そして、Aの姿を見つけると
途端に駆け出して、彼の傍に寄り添った

「・・・・しばらく、ここにいても?」

ナース長は困った顔をして
俺に聞いてきたので、苦笑しながら
それに答えた

「俺はこの後、Aと
そこのお嬢さんのことで、会議がある
・・・・そうだなァ、3時間くらいだな」

「ありがとう、マルコ隊長」

ナース長は少し茶化すように
俺に礼を言った

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

彼の姿を見た途端、ほっと力が抜けた
初めて、だった、こんなにも
胸の中がざわつくような、出来事は

よかった、と小声で
彼の手を握りしめて言った

よかった、よかった・・・!!
ぐっと涙を我慢して、心の中で
何度もそう叫んだ

「・・・少しお手洗いに行ってくるわ。
ここから出ないでね」

後ろで金髪の美人なナースが言った
私は振り向かずに、こくりと頷いて
彼女がこの部屋を去るのを待った

瞬間、私は彼の手を
体いっぱいで抱きしめた
そして目に溜めた涙を零した
はぁ、とゆっくりと息を吐いて
過呼吸になりそうだった呼吸を整えた

「・・・・ありがとね、A」

生きていてくれて、と心の中で
付け足した
すると、握りしめた彼の手が
ぴくりと動いた

「Aっ」

咄嗟に彼の名前を呼んだが
彼が瞳を開けることはなかった
規則正しい寝息が、ずっと聞こえていて
そのことが何故か私を不安にさせた
・・・ずっと、Aが
このままになったらどうしよう

もう、難題を唸りながら解くことはない
口うるさく言われることもないし
たまに起こす彼のドジに苛立ちを
覚えることもない
でも＿＿＿＿＿＿＿

部屋の扉がギィ、と鳴って
先ほどの金髪のナースが
部屋に入ってきた

「お待たせ。
どうかしら?Aの様子は」

私は黙ったまま、首を横に振る
そんな私の様子を見てナースは
心配そうに彼を見つめた

「意識がないのは心配ね」

目覚めるのはずっと後になりそう、と
ナースは呟いた
私はぎゅっと自分の拳を握って
震える声でナースに言った

「私に、仕事をちょうだい」