four seasons.

ネクタイ。 ページ40

さっきから俺を放置して雑誌を見ている彼女。
高校の後輩で、今年の春から大学生になるA。

はじめは、同棲しちゃおうか？なんて思ってたけどAが大学卒業するまでは同棲とかしないなんて言ってきて。

まあ、そう言う真面目な所に惹かれたんだけどね。

「ねぇー。Aさっきから俺を放置して雑誌見ないでくれない？」


『んー。ちょっとだけ待ってて。今、大事なところだから』


そー言って、座ってるAの腰に腕を回すと優しくポンポンと頭を撫でてくれる。
相変わらず目線は、雑誌だけどさ。


『よしっ！読み終わったあー。
隼、ごめんね？良い子で待ってたねー。』

「もー！！A子供扱いし過ぎ。」

『えぇー？だって隼のかまってちゃんが可愛くてさ。コレじゃどっちが年上だか年下だか分からないね？ふふ。』

ほーら？昔から俺を撫でながら優しく微笑むこの顔に弱いんだよね。

惚れたもんの弱みってヤツ？


「Aー！！！」

もう、幸せすぎて上手く言葉に出来なくて思わず抱きしめてた。

『んー！！！隼苦しいよー。』

「俺を放置した罰でーす。ぎゅー！！」

『ふふっ、隼可愛すぎるよ。私もぎゅー！』


「あっ、そーいえばさ？何の雑誌見てたの？すげー真剣に見てたから気になる。」

普段のAは、あまり雑誌やら文庫やら終いに漫画も読まない。本人曰くじっとしてられないから苦手らしい。笑


『んー？コレ！！！』

俺に向けて雑誌のページを見せてくる。
そこには、“新社会人へのオススメ簡単ネクタイ結び特集”なんて書いてあった。


「ネクタイ？Aには、必要無いじゃん？」

『もー！違うよ！隼にしてあげるの！』

「えっ！俺！！でも、俺さネクタイなんてしないよ？」

まー、高校を卒業し俺も社会人1年目だけどあいにくサラリーマンじゃ無いので、ネクタイをする機会がない。

衣装とかでネクタイをするにしてもスタイリストさんとかに結んで貰ってまず、自分でしない。高校の制服で結んでた以来かな？


『そーだけどさ、私ずっと憧れてたんだ。ネクタイ結んであげるの。ほら、高校の時とかさ隼のネクタイ結んであげたじゃん？』


「あっ！そーいやそうだったかも。Aってば、わざわざネクタイ外させて結ぼうとしてたよね？」

『そうそう。でも、結局正面から結んであげられなくてさ…』

「俺のこと、椅子に座らせて後ろから結んでたよな。」


『だってー！自分では、結べるけど正面だとかってが違うんだもん。』


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