【オリジナル】十二天物語 (ページ11)

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十頁目ページ11

ふと、顔をあげると目の前で黒っぽい何かがしぶとく生きようとしているのが見えた。

？「・・・させない」

無感動に呟いて、手に持っていたモノを何かに突き刺した。
途端、何かは消え去った。
緩慢に周りを見渡すと今のでラストだったらしい。
もはや何もいなかった。
あとはただ帰るだけだ。

学校にいるのであと数時間したらまたここに来ることになる。
学校、という単語で昨日の事を思い出す。

ようやく会えた待ち人。
昨日は逃げられてしまった。

けれど今日こそは。

？「・・・逃がさない。決して」

次の日。
真は相変わらず昨日の違和感について考えてはいたが、それどころではなかった。
見ているのである。出雲が。
授業中であろうと休み時間であろうと。
最初は気のせいかと思ったがしだいにそうも言ってられなくなった
昨日は特に何もしてないし、何もされていない

なのに、今日になって突然じろじろ見てくるようになった。
出雲自身は常に女子に見られているのだが、その出雲は常に真を見てくる。
真横から見られているので気まずいことこの上ない

しかも時間が経つにつれ、出雲を見ている女子がどんどん真に殺気立つのが解った。

真(何で私がこんな目にーーーーーーーー！？)

泣きたいが、泣いてもどうにもならない。
いっそのこと、出雲の顔を窺いたいが、そんなことをしたらばっちり目が合うだろうと分かっているのでそれも出来ない。

真(早く４校時終われ～～～！！)

そしたらこの居心地の悪い席から逃げられる。
授業終了まであと三十秒

周りの視線が怖ろしいのでひたすら黒板を睨む。
あと二十秒

もしかしなくてもお昼休みに女子に囲まれるかもしれない
それを避けるためにも出来るだけ素早く、人目のなさそうな所に行かなければ。
あと十秒
九、
八、
七、
六、
五、
四、
三、
二、
一…！
・・・キーンコーンカーンコーン・・・・・キーンコーンカーンコーン

先生「お、もう終わりか。じゃあ今日はここまで」
委員長「起立ー！礼、着席」

クラス委員が言った着席のちゃで真は弁当を持って教室から飛び出した。

少し遅れて真の逃亡に気づいた女子の一団が鬼の形相で追いかけてくる。

女子「「「待て――――！！！」」」

さらに遅れて、出雲夜摩がゆっくりと瞬きした。