2-16 会社前 ページ16
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会社近く
「この辺りで、大丈夫です。」
そう言うと止まったタクシー
後から乗り込んだ二宮さんが一旦下りて
続いて私が下りる
「送ってくれて、ありがとう。」
お礼を言っている間も
通勤途中の人の群れの中にいることが怖くって
気が気じゃ無いのに
「どういたしまして。
で？どこなの？」
って私の手を取って歩き出すから
「ちょ、ちょっと、ちょっと。マズイです。」
そんな私の反応を愉しんでるかのように、
いや、完っ全に愉しんでる二宮さんがいて
「朝デート？」
なんて、笑ってるけど
こっちはそれどころじゃ無くって
「そこです、そこ。」
焦ってる私は、見えてるビルを指差した
もう、着いちゃったっ、て
ふーん、てつまんなさそうな声を出して
「はい、いってらっしゃい。」
って、こんな状況でも
顔の横で手を振る姿にキュンとしてる私はバカか・・・
「行ってきます。」
小さく手を振って足早に、そこを離れる
あー、
心臓に悪い
もう、こんな事は2度とごめん、だ、
幸い誰にもばれなかった？から
良かったものの
こんなの、誰かに見られたら
このご時世、スマホなんてものがあって
ツイートやら、ツイートやら、ツイートやら、
あぁ、怖いよ、
あの人、二宮さんはどういうつもりなんだろ？
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作者名：617 | 作成日時：2016年5月23日 21時
