157 目論み ページ9
日付もとっくに
変わって
そろそろ寝よっかな、
なんて
ベッドでうとうとし始めた頃
ピンポン、
ピンポン、ピンポン
無駄に鳴り響くチャイム
なに？
驚いて覗くモニター
そこに映し出されたのは
私のプレゼントした帽子を被って眼鏡をかけて
カメラに向かって『あ・け・て。』って
微笑んでる、かずがいた
オートロックを解除すると
玄関に行って
かずが上がって来るのを待った
靴音が聞こえてきて
部屋の前まで来た時に扉を開けると
「ただいま。」
そう言って
ぐーにした左手を差し出す
ん？なに？
さらに
ん、って差し出してくるから
私も手を出すと
掌に置かれる、エビフライのキーホルダー
「わぁ、ありがとぉ。」
ぶっ
「棒読み(笑)
嘘でもいいから、もうちょい、喜びなさいよ。」
って笑ってるから
「わあー、ありがとー。」
わざと棒読みでお礼を言うと
「そうそう、その調子。」
って笑ってる
いえ、そうじゃなくってね？
会いに来てくれたのは嬉しいんだけど
お仕事忙しいんじゃないの？
明日も明後日も
なんなら年が明けるまで
暫くは忙しい日々なんじゃないの？
だけど
なにひとつ言葉にならなくって
黙ったまま、かずを見上げてたら
「そぉーなのよ。
毎日忙しくってね？
そのうえ、あなたに会いに来てたら、
体力が持たないな、ってね？」
あ、えすぱー出た。
「だからね？
ふはっ、
何て顔してんの？」
会えた嬉しさとは裏腹に
さみしさが顔に出ちゃってた私を
笑って、ぎゅー、って抱きしめると
「うちにおいで？」
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作者名：617 | 作成日時：2015年10月31日 21時
