189 映画デート ページ41
えっ？
いいよ、いいよ
はるくんも用事あるでしょ？
ってあっさり、断られそうになったから
「何見る予定だったの？」
なんて映画へと話題を逸らした
だけど
今見たばかりの話題のSF映画は
避けたくて
さあやと一緒に見るなら恋愛モノがいいな
なんて勝手に妄想を廻らせてたら
「あ、」
小さく声を発して
終戦70年の見出しの戦争映画の前で
立ち止まるから
戦争映画か・・・
なんて思いながらも
彼女が、そこから動かないから
「じゃ、それにしよ？」
断られる前に
そう言ってさっさとチケットを買った
チケット代
って、お財布を出そうとするから
「いいよ、」
って言ってんのに
高校生に奢ってもらう訳にはいかないからと
半ば無理矢理に
しかも、おれの分のチケット代まで渡されて
少し
いや、結構
” 高校生 ” って足枷がデカイ事を思い知らされた
それでも、
初めて2人並んで見る映画は
胸が高鳴って
殆ど内容なんて頭に入ってこなかった
チラリと盗み見た彼女は
スイッチが壊れたみたいに号泣してて
映画が終わる頃には泣き疲れてるみたいだった
映画館を出ると恥ずかしそうに
「ごめん、ね？泣き過ぎちゃった。」
って言うから
「案外、泣き虫なんだね？」
なんて笑ったけど
新たな彼女を知れて内心嬉しかったんだ
映画館を出た時には外はすっかり
暗くなってたけど
もうすぐクリスマスだという事で
街はキラキラ煌めいてて
なんだかデートしてる気分になって
浮かれたおれは
中途半端な時間だったけど
「腹減ったな、ご飯でも食べてかない？
映画奢ってくれたから、ご飯くらい奢らせてよ？」
って
絶対断られると思ったのに
少しだけ考えてる風だった彼女が
「そうだね、お腹空いたね？
じゃあ、ご馳走になろうかな？
私の知ってるとこでいい？」
なんて言ってくれたから
「うん！」
て浮かれて連れてかれた先はマックで
は？
もっと、パスタとかお洒落なデートっぽいやつを想像してただけに、
ガッカリ感はハンパなくって
なんでここ？って
口から出そうになったけど
よくよく考えれば、
いや、考えなくっても
あぁ、足枷のせいか・・・なんて
肩を落とした
それでも
彼女との ” 初めて ” は愉しくて
この時間が永遠に続けばいいのに、
なんて思ってた
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作者名：617 | 作成日時：2015年10月31日 21時
