The missing piece Ⅳ (ページ31)

今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:84,357 hit

179 我慢ページ31

・

Aがうちに泊まるようになってから

あっ、と言う間に２週間が過ぎた

オレの仕事が遅い時は
先に寝てる事が殆どで

帰ってくると彼女の寝顔にキスをしてから
自分の日課をこなす

ゲームをしたり

曲を作ったり

録り溜めたテレビを見たり

楽器部屋に閉じこもったきり
朝になる事もしばしばで

オレにしてみたら
Aが、うちにいてくれて
ホントに助かってんだけど

あのヒトはどう思ってんのかな？

・

私が
かずんちに泊まるようになって

かずは息苦しく思ってないのかな？

うちにいて欲しい
って言われた時は嬉しかったけど

殆ど毎日
すれ違いの生活で

私がここにいる事の意味が
よく分からなくなってきちゃってる気もする

今日も私が起きてるうちに帰っては来なかった

かずのベッドで
かずの匂いに包まれて寝るのは安心するけど

手を伸ばしても触れる事が出来ないのを
少しさみしく感じてしまうんだから

人間て、
どんどん贅沢になってく生きもんなんだなぁ、
なんてつくづく思う

夜中
珍しく目が覚めて

水でも飲もうと
冷蔵庫からペットボトルを取り出して一口含んだ

かずは、
リビングに居なかったところを考えると

楽器部屋かな？

聞こえるはずも無いのに
息を潜めて、足音をさせないように

ソロソロと楽器部屋の前まで行って
ドアノブに手を掛けたけれど

回さずにやめた

そのまま、ずるずると床に座り込んで
中にいるかずに想いを馳せる

楽器を置いてるこの部屋は防音になってるから
中の音なんて聞こえてくるはずなんてないのに

それでも、

耳を澄ます

五感を研ぎ澄ます

だけど、

こんなに近くにいるのに触れられない・・・