172 そわそわ ページ24
花金
世間では
クリスマスだ忘年会だと
街ん中はどうやら
浮き足立ってる人達が沢山いるようだけど
そんな世間の流れなんて
全然関係ないのがオレの仕事
そりゃ、
その時々のイベントやらなんやらに合わせた企画の番組構成にはなってるけれど
私生活では
全然、ってくらいに季節感がないんだよね・・・
夏はTシャツに短パン
冬はその上にダウンを羽織って
下がGパンに変わるぐらい
ドア to ドアだから
外の風を感じるなんて、そうそう無くって
現場に入れば
スタイリストさんがちゃんと着せてくれるし、さ
あぁ、
オレってダメな大人だな・・・
思わず笑いが込み上げたとき
「なんかトラブってるらしいよ？」
「へ？」
「そうそう、今日はもう、終わりかもね？」
まじ？
時計を見ると、まだまだ今日で、
このまま終われば・・・
携帯を取り出して
Aにメッセージを送ろうとして、やめた
黙って早く帰って驚かしてやろう
なんて
・
カチャリ、
ドアを開けて中に入ると玄関のライトが点く
廊下の向こうは、既に暗闇で静まり返ってる
明日、休みなのに もう寝ちゃってんの？
なんて、思いながらリビングの電気を点ける
寝室のベッドの中の彼女を起こさない様にと
できるだけ息を潜める
シャワーを浴びて
テレビとPCとゲーム機の電源をいれて
寝室の扉をそっと開けた
いない？
そこに寝てるであろうと思っていた人物がいない
はい？
なんで？
もしかして・・・
週末だから自分ちに帰っちゃったの？
ウソでしょ？
はぁ、
当たり前の様に出る溜息
そう言えば、
今週末は出張がないから「一緒に過ごそう」って、
オレ言ってなかったわ・・・
だって
仕事が何時に終わるかなんてわからないし
一緒に過ごそう、って待っててもらってもさ
結局は、待たせるだけで
一緒に過ごす時間なんてなかったりもする
ベッドに、腰掛けてメッセージを送る
” もう、寝ちゃった？
暫くは、既読がつかないかと
画面と睨めっこをしていたけれど
それも直ぐに諦めて
テレビの前に座ってゲームを始める
寝ちゃったのか、な？
それとも、お風呂？
迎えに行く？
あぁ、でも
今日はお泊りする気分じゃなかったのかもしれないし、
なんて
色んな考えがぐるぐると頭ん中を回ってた時
メッセージが届く
” ごめんなさい。
接待で遅くなりそうなので
今日は自分の部屋に帰るようにします。”
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作者名：617 | 作成日時：2015年10月31日 21時
