169 お土産 ページ21
・
お風呂上り
携帯を見ると、かずからメッセージが届いてた
” 今日は、少し早く帰れるかも？”
そんな約束なんて
あってないようなものだけど
それでも、やっぱり嬉しくなってしまう
テレビを見てるとリビングのドアが開く
「お帰りなさい。」
立ち上がって彼の元へと駆け寄って抱きつくと
「ぅおっ、と。気を付けて？」
「え、ごめんなさい。」
焦って抱きついた腕を解くと
見慣れた、赤い箱を彼が手にしてるから
「？それ、」
ふふ
「お土産。」
口角を上げた彼が
「はい、」って赤い小箱を私の手に乗せた
「ケーキ？」
「新作らしいよ？」
「え？」
「確か、ピスタチオとベリーのチョコレートケーキって言ってたと思うんだけど。」
「コーヒー淹れる？」
「うん。シャワーしてくるから、お願いしてい？」
頷いてキッチンへと向かう
赤い箱を見ながら
豆をコーヒーメーカーにセッティングする
お皿にケーキを乗せて
リビングのテーブルへと運んでいると
丁度いいタイミングで
かずがお風呂から上がってきたから
コーヒーを淹れる
「これ・・・？」
「夕方に、ね。
ちょっと空き時間が出来たから
買いに行ってたのよ。」
ここのケーキが好きなんでしょ？
って笑うから
「かず、って・・・」
「ん？」
「意外と、マメ。」
んふ
「でしょ？」
「ありがと。」
「どういたしまして？
ワタシ、好きな子には、ちゃんと尽くしますから。」
なんて
琥珀を潤ませて口角を上げる
その顔に、胸がキュンてするに決まってる
・
ここんとこの日課
背後から抱きしめられた腕をそっと外して
布団から抜け出すと仕事の準備をする
すぅすぅ、と静かな寝息を立ててるかずに
行ってきますのキスをして出かける
エビフライを掴んで玄関を出る
ん？
鍵をかけようとして
エビフライに目をやると
そこには
鮭を咥えた木彫りの熊が付いてた
えっ？
もしや、これは・・・
この調子で増えてくの？(笑)
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作者名：617 | 作成日時：2015年10月31日 21時
