168 アイドル降臨 ページ20
ゴミ出しから戻ると
山田が何だかギャーギャー騒いでる
「何？なんかあったの？」
「なんかじゃないよ、嵐が来たの！」
「は？何言ってんの？ばかじゃないの？」
そう言いながら
雑巾を手に入り口のドアを拭こうと向かってたら
「ばかじゃないよ。」
そう言うと、おれの背中をバシッと叩いた
「
なんなんだよ？
こんな時期に台風なんて来るわけないじゃん。」
はぁ〜？
「台風じゃないわよ！嵐だっつってんの！！」
「だから、」
言いかけたおれを遮って山田が続ける
「嵐よ！嵐の、にのが来たのよ！」
は？
アイドル？
まじ？
えぇぇ〜〜！！
飛び出して行くおれの背中に
「もう、とっくに帰ったわよ。」
って、鼻で笑った
「まじかぁ、芸能人見たかったぁ・・・」はぁ、
溜息を吐くおれに
「テレビで見るより男っぽかった気がする。
やっぱり、大人の男っていいなぁ。」
なんて
目が少し恋する乙女みたいになってて
「キモっ、」
そう言うと
また、バシッと背中を力任せに叩かれた
・
オレの目論見は完全に外れた・・・
店内には
新作を勧めてくれた女の子の店員さんしかいなくて
あの時
Aと一緒にいた、
” 高校生 ” もとい ” オトコ ” はいなくって
何となく肩の力が抜けた
(オレ、何やってんの？(笑))
目の前の女の子は
騒ぎさえこそしないものの
分かりやすく目をキラキラさせて
オレの事を見てるから
あの高校生への対抗心からか
とびっきりの営業スマイルを残して店を出た
ちゃんと、オレの存在伝えてね？
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作者名：617 | 作成日時：2015年10月31日 21時
