93振り目 ページ6
「...なるほどな」
少し冷めた緑茶を飲み干すと冷たさが喉を通っていく。
向かいに座っている少年は何も心にないような顔で淡々と話す。
ただ、聞こえてくる声は温かい...ような気がした。
『これでわかっただろ?僕がお前を歓迎しない理由が』
「ふむ。お前さんの父親の死、狂った主が一期一振を折る、そして姿が似ていたおれを求めてほかの刀剣男子を折り、資材を集め始めた...」
ちらりと彼を見ると、彼は「そうだ」というように静かに頷いた。
しかし、やはり月翔という男は不思議な奴だ。
生身の人間が自分よりも強い刀剣男子を庇う必要がどこにあるというのだ。
しかも、詳しく聞くとその時の一期一振は"青いお守り"を持っていたという。
つまり、庇って死ぬ必要など無かったはずなのだ。
そして、もう一つの不思議は
さっきの違和感。
「お前さんの父親はとても不思議な奴だ...」
『さっきも言ってたけど...どこが不思議?』
「庇う必要のない一期一振を庇ったり、この部屋に残る遺品の違和感...」
「...違和感ってなに?」
この少年は知らないのか?
何度もこの部屋に来ていそうなのに...。
話すべきか。
話さず知らぬフリをするべきか。
『...』
少年がおれを見つめている。
ぶつかり合う視線が逸らさせることはない。
少年の態度が変わった気がした。
さっきまでお前とは話したくないという拒絶ばかりだったくせに、
今度は真実と正義を追い求める小さな小虎のようだ。
やれやれ、しょうがない子だな。
その"紅い三日月"に免じておれも協力してやろう。
「実はさっきこの部屋を見て回ったんだが_________」
223人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るな - うぉぉぉぉぉ!!なんだこの物語の深さは!!1日で最初から最期まで見てしまったではないか。罪深い…。続き待ってます (2019年12月7日 17時) (レス) id: 1850023da9 (このIDを非表示/違反報告)
枕 - やっぱり面白いです!何!?っていう展開がもう楽しみで仕方がありません!( ^∀^)頑張ってください!! (2018年2月18日 23時) (レス) id: a69766f27d (このIDを非表示/違反報告)
郷羅 - ここで父さん来ますか...!(; ゚ ロ゚)ですが、相変わらず面白いですな!これからも、投稿頑張ってください! (2018年2月18日 11時) (レス) id: 92b69bfb4a (このIDを非表示/違反報告)
にーちゃ - 凄く!面白いです。続編おめでとうございます! (2017年11月29日 7時) (レス) id: 14db14b077 (このIDを非表示/違反報告)
真雷(プロフ) - 縁さん» ありがとうございます...ありがとうございます...コメ嬉しすぎて涙が... (2017年10月14日 12時) (レス) id: a71def900b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:真雷 | 作成日時:2017年9月7日 19時