１０１振り目 ページ14
夜が明るいなんて思ったのは何年ぶりだろうかなんて。
家族が…両親がいるというだけで温かいなんて。
そんなことを思うのは普通じゃない。
それが嘘偽りなのに嬉しくて悲しいなんて普通じゃない。
だけど流れる涙は現実で偽りなんかじゃないから切なくてどうしようもない。
だから呼ぶ。
『____いち…』
僕が見つけた本当幸せを。
『いち…いち…』
触れる熱さは唯一僕を落ち着けるもの。
｢このような時間にそんな薄着では、春といえど風邪をひきますよ…｣
ふわりと香るのは桜。
嗚呼…
今日の洗濯当番は薬研と乱かな?
だって柔軟剤が僕のお気に入りだもの。
肩に掛けられた羽織り。
おっきいから和泉守かな?
襟巻は赤と白。
２個もいらないって言ったら喧嘩するかな?
ドクンドクンと聞こえる音に、優しい香り。
『よくわかったね…呼んだの』
｢皆わかっていましたよ。そうでなくてはこんなに貢物も無いでしょう?｣
『みんな心配性だなあ…』
そう、心配性だから。
皆愛してくれているって痛い程わかっているから。
決断しなくてはならないのだ。
『幸せって桜に似ているね』
｢桜…美しいところがですか?｣
この先の未来をどう生きるか。
生温い夢でずっと生きていくか。
『綺麗なのは少しの間、終わってまた咲き誇るまでが長すぎる』
｢若様…｣
みんなにとっての幸せは…
いいや、僕にとっての幸せは。
『僕は…桜にはなりたくない』
｢私は…｣
彼にとっての幸せは…
｢私は…貴方が桜になるのなら梅にでもなりましょうか｣
『え…』
｢貴方が咲く前に咲き誇り、貴方が散る頃一緒に散りましょう…
私は貴方が居れば幸せなのです｣
『!』
｢辛いのなら傍に居ましょう。
悲しいのなら一緒に泣きましょう。
重い使命なら一緒に背負いましょう。
貴方が進む未来を私は共に歩いていきましょう。
…ずっとずっと私はAの隣にいます｣
『…うん、そっか』
わかってたじゃないか。
僕だって。
『じゃあ…もういいよね?』
泣くのをやめて、腰を下ろそう。
目を閉じて、明るい世界を見よう。
『僕も一期一振が、みんながいるならなんでもいいや』
10数えて、もう一度目を開けた時
きっと…この夢は______。
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るな - うぉぉぉぉぉ！！なんだこの物語の深さは！！1日で最初から最期まで見てしまったではないか。罪深い…。続き待ってます (2019年12月7日 17時) (
レス) id: 1850023da9 (このIDを非表示/違反報告)
枕 - やっぱり面白いです！何！？っていう展開がもう楽しみで仕方がありません！( ＾∀＾)頑張ってください！！ (2018年2月18日 23時) (レス) id: a69766f27d (このIDを非表示/違反報告)
郷羅 - ここで父さん来ますか...!(; ﾟ ﾛﾟ)ですが、相変わらず面白いですな!これからも、投稿頑張ってください！ (2018年2月18日 11時) (レス) id: 92b69bfb4a (このIDを非表示/違反報告)
にーちゃ - 凄く！面白いです。続編おめでとうございます！ (2017年11月29日 7時) (レス) id: 14db14b077 (このIDを非表示/違反報告)
真雷(プロフ) - 縁さん» ありがとうございます...ありがとうございます...コメ嬉しすぎて涙が... (2017年10月14日 12時) (レス) id: a71def900b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真雷 | 作成日時：2017年9月7日 19時
