愛されていた【刀剣乱舞 男主】《三日月編》

祝１００振り目 ページ13

かあさま。

かあさま。






僕の大好きなかあさま。





優しくていい匂い。

大好き。

もっと抱きしめて。





かあさまの笑ったお顔がだいすきだから。




なのにどうして？





「オマエハ誰ダ」




そんなこと聞くの？



ぼくはAだよ。
今年で１３さいになったんだよ。

おたんじょうびはいわってもらえなかったけど泣かなかったんだよ。





「Aはまだ７歳だったわね?」




え？
僕は１３歳だよ？




かあさま...？






『_______ぁ...』







_________そうだ。

これは...




「え?」





これは偽り。


僕が望んだ"嘘の幸せ"






『..._____そうだよかあさま。Aは来年で８さいなんだよ?おっきくなったでしょ?』





違う。

僕は１３歳。



現実が

歳月が

駆け巡る。





父様が死んで、最愛の一期一振を失った。





新しい一期一振を受け入れられずに苦しんで悩んでいっぱい泣いた。





"いち"の『私を愛してください』っていう必死な願いと心。

本丸のみんなのあたたかさに触れて自分の気持ちに向き合えた。







(...そうか)






今ここにいる母様は６年前を見ているんだ。






幸せな夢。


偽りの世界。



戻れない過去を見ているのか。







でも、


もしここで僕が７歳だと偽り続けたら...
この夢が続くのだろうか？


本当の世界に目を瞑って、
現実の音から耳を塞いでいればこのまま...



幸せな日々が続くのだろうか？




掠れた目じゃよく見えないから、
不意に名を呼んだ。





『いち』



小さくて消えそうな音。

だけど彼は振り返るのだ。




「はい、若様」





『...い、ち...』




彼を




"一期"と呼べないのは









僕が夢を見れないからだ。

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