４８振り目 ページ5
平常心を保てたはずだ。
ちゃんと微笑むことが出来たはずだ。
まだ幼い小さな体を抱き抱えて歩きながら僕の心臓はドクン、ドクンと早い鼓動を繰り返している。
内番の畑仕事の休憩にお茶を取りに行こうとしていた時だった。
『なんで!?一期!まってよ!!置いて行かないで!!!』
若の叫ぶ声が聞こえて、びっくりして廊下の角を曲がった。
「わ、若?」
そこにはぺたりと床に座り込み、荒い呼吸を繰り返す若。
「っ!?」
一瞬。
ほんの一瞬だけど僕の呼吸が、時間が止まった。
"あの時"と座り込む若が重なって怖くなったんだ。
一期一振が折られた後、罪の意識に潰されそうになった若が自ら腕を切り、大量出血でジサツしようとした時。
その時と同じ座り方と呼吸で。
『大和、守...安定...』
だけど僕の名前を呼んでくれて、生きてるって、過呼吸なだけってわかってそれだけで泣きそうだった。
今も抱える体が温かくて若が生きてるってわかる。
でも、そんな安心が不安で仕方ない。
だから僕は
「若、僕は若に伝えなきゃいけないことがあるんだ」
言わなくちゃ
『なあに...?』
ねえ、一期を追いかけてないでと。
お願い、僕のようにならないでと。
僕はよく知ってるから。
振り返らない人を待ち続けるのは辛いことを。
僕に待たなくていいと言ってくれた君が、待ち続けていることを。
「部屋に着いたよ」
だから君に話すよ。
前に進む方法を。
君に教えてもらったやり方で。
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真雷(プロフ) - れんさん» 長文で丁寧に感想を書いて下さり本当に嬉しいです!!!そんな風に何かを大切にしようと思って貰えるとは…。この小説を書いてて良かったなと思うことが出来ました(´∀`)ゆっくり亀スピードですが頑張って書くのでよろしくお願いします! (2018年3月31日 12時) (
レス) id: 9e8cdb3667 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - と思いました。とても胸が苦しくなる作品でしたがとても素敵な作品でした。改めて一期一振が大好きになりました。ありがとうございます。 (2018年3月27日 23時) (レス) id: 22fb448192 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - 一期一振ガチ勢の私には悲しすぎる展開でした。1振り目の一期一振の思いと2振り目の一期一振の思いが交差して悲しい連鎖を生み出す。最終的に1振り目の一期一振ではなく2振り目の一期一振と共に歩む主の姿。この小説を通して改めて自分の本丸の1振り1振りを大事にしよう (2018年3月27日 23時) (レス) id: 22fb448192 (このIDを非表示/違反報告)
郷羅 - 嗚呼､、素晴らしい作品に出会った!ありがとうございます！一日中ずっと泣けました! (2018年2月18日 11時) (レス) id: 92b69bfb4a (このIDを非表示/違反報告)
真雷(プロフ) - 彼方さん» 続編出来ました！おまたせしましたああ！ (2017年9月28日 19時) (レス) id: 06a076d6f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真雷 | 作成日時：2017年1月22日 19時
