６２振り目 ページ21
夕餉の時、主に何かあったと察した時には
その場に若は居なかった。
私達刀は何が起こるかわからないから、付いては行かず少し様子を見ながら若を待っていた。
だが、待っても待っても若は戻らない。
「...長谷部殿、何か...若様に何かあったんじゃないでしょうか...」
「...っ」
残る刀達の不安な表情と
怖くて私に抱きつく粟田口の弟達。
「わ、若様...大丈夫でしょうか...」
五虎退が震える声で呟いた。
「っ...ねえ、いち兄。若迎えに行こうよ」
乱が服を引っ張る。
私は そうだな と言って二人の頭を撫で、長谷部殿に声をかけようとした。
「黙れえええええええ!!!!」
ドタンッ!!!!
「え!?」
「なに!?今の音!!」
「この声って主の...って一期一振!?」
体が勝手に動いた。
廊下を戦場の様に駆け抜けて、階段を1段飛ばして駆け上がる。
遠くないはずなのに酷く息が切れた。
そして目的の場所に着いた時。
『__僕は父様ではありません。そして三日月宗近でもないのです。その証拠に僕の瞳に写る三日月は紅く、僕は強くない』
「三日月...宗近?」
襖の奥で聞こえた刀の名前。
天下五剣の三日月宗近。
そして
「若の目に三日月...?」
見たことも聞いたこともない事実。
「若の目に紅い三日月なんて...」
無かったと、思う。
初めて会った日からずっと若を見ていたが、
昼間の若に紅い三日月なんて...
「え?...昼間...?」
何かが引っかかった。
私は昼間の若しか見たことがない。
だけど彼の目に三日月を見たことは無い。
気づけば襖に掛けていた手が落ち、
立ち尽くすだけになっていた。
「もし、もしも」
本当に彼の瞳に紅い三日月があったら。
その父親である月翔殿にも三日月があったのか?
「でも、あれは三日月宗近という刀が持つ特有の瞳だ」
じゃあ。
月翔殿は...?
「月翔殿は...人、間じゃ...」
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真雷(プロフ) - れんさん» 長文で丁寧に感想を書いて下さり本当に嬉しいです!!!そんな風に何かを大切にしようと思って貰えるとは…。この小説を書いてて良かったなと思うことが出来ました(´∀`)ゆっくり亀スピードですが頑張って書くのでよろしくお願いします! (2018年3月31日 12時) (
レス) id: 9e8cdb3667 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - と思いました。とても胸が苦しくなる作品でしたがとても素敵な作品でした。改めて一期一振が大好きになりました。ありがとうございます。 (2018年3月27日 23時) (レス) id: 22fb448192 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - 一期一振ガチ勢の私には悲しすぎる展開でした。1振り目の一期一振の思いと2振り目の一期一振の思いが交差して悲しい連鎖を生み出す。最終的に1振り目の一期一振ではなく2振り目の一期一振と共に歩む主の姿。この小説を通して改めて自分の本丸の1振り1振りを大事にしよう (2018年3月27日 23時) (レス) id: 22fb448192 (このIDを非表示/違反報告)
郷羅 - 嗚呼､、素晴らしい作品に出会った!ありがとうございます！一日中ずっと泣けました! (2018年2月18日 11時) (レス) id: 92b69bfb4a (このIDを非表示/違反報告)
真雷(プロフ) - 彼方さん» 続編出来ました！おまたせしましたああ！ (2017年9月28日 19時) (レス) id: 06a076d6f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真雷 | 作成日時：2017年1月22日 19時
