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30: 事故 ページ30

信介「ただいまぁ…」


『兄ちゃんお帰りぃ、ご飯にすんで!』


信介「作ってくれたん?」


『A姉ちゃんがな!』


信介「…あぁ、今着替えてくるわ」


コンコンコン


信介「A、帰ってきたで」


A「…」


信介「?A?入るで」





部屋に入ると、

Aはタンクトップにショートパンツの

完全な薄着で爆睡しとった。




信介「こらこら…暑くてもこれはダメやろ」


信介「A?起きてご飯食べるで」


Aの横に座って軽く肩を揺する。

けど、リズムの良い寝息をたてて

端正な顔立ちのまま眠っとる。


…俺らは4人姉弟の中でも真ん中で

いつも一緒におったし、顔もソックリ。

侑や治みたいに双子に勘違いされることもある。


…俺、こんな顔整ってないねんけどな。






『好きです、付き合ってください』


…綺麗な子やったし

告白されて悪い気も全然せんかった。


けど考えるん前に断っとって

理由を聞かれても

「好きやないから」以外思いつかんかった。



ふわっと、Aの頬を触ってみる。

日焼けしてこんがりしとるのに

肌は乾燥せんで、もちもちしとって



信介「A、起きんなら先ご飯食べるで」


A「…んん…ん…」


信介「ん?起きたか?」



寝返りを打ったAは

寝ぼけながら俺の太ももと腰あたりに腕を回してきて


よいしょっと、腕を背中を回して、抱き上げてみる。




Aはおそらく夢うつつのまま

体をしぶしぶと起こして

目はまだつぶっているから

まるで小学生のお世話をしている気分や。



正座したまま二度寝に入ろうとするから

ほっぺをぺちぺちして

起こそうと試みるも




信介「ほら、起き」




でもその瞬間、



信介「んっ…」



Aが目を瞑ったまま

倒れるように、俺の唇を奪ってきた。



一瞬何が起こったのか理解できなかったが

Aが俺の体に倒れるように寝始めて



思わず後ろに抱きかかえたまま倒れてしまう。




信介「ちょ…A」


A「…すー…すー…」




自分の胸の上にあるAの頭を撫でて

ふと熱くなった自分の口を覆う。



初めてのキス。

それがAで、事故のようなキス。

せやのに…




このまま時が止まってしまえばええのに




…なんて

ぎゅと強くAを抱きしめた。




体の色んな部分が熱くなっとるのが

恥ずかしいくらいにわかる。





信介「…はぁ」





何で血ぃなんか…繋がってんねやろ。


こんなにも、好きやのに。

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作者名:げんまいちゃ。 | 作成日時:2020年12月26日 3時

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